ミクストランを成功させるには
1つの目的から別の目的も同時に受け入れるようにするには
以前筆者がコインランドリーに併設する飲食店のメニュー開発の依頼を受けたことがあった。洗濯を待つ間に、誰もがコーヒーを飲みたくなるわけでもないし、ましてや洗濯物が回っている隣で食事をしたいわけではない。そのため、コインランドリーを感じさせない店づくりを提案し、メニューもそのメニューそのものを目的に来訪するような個性的なものにするよう心掛けて開発、提案した。 人間の心理として、一つの目的(この場合は洗濯をする)があり、そのために行動している時に、全く違う目的をもつ行動には意識が移動しにくいのではないか、と筆者は考えている。そのため、「洗濯をする」という行為と親和性の高いものを販売したり、顧客の脳内で、洗濯と連動させられる行動ならば、ある程度は可能性が高いかもしれない。もしくはさらに踏み込んで、カフェではなくセミナールームとしてさまざまなプログラムの教室を開催し、授業を受けている間に「ついでに」洗濯をする、という逆の発想だ。 スポーツ教室(空間)とカフェの併設も定番のミクストランだ。スポーツという共通の趣味の関係性の中で、コミュニケーションが生まれやすい状況下なので、カフェも使いやすいともいえる。しかし一方では、顔見知りの人が入店する可能性が高いカフェなので、「別の場所へ行きたい」と思う客もいるだろう。教室というコミュニティーの基盤があるので、逆に一人の入店がしにくくなるともいえる。
成功するミクストランを作るには
消費者は多角的な感覚、条件の中で購買行動に至る。物価高騰において非合理なものや意味付けのないものに「なんとなく」ではお金を落としてはくれなくなっている。暇つぶしのための併設カフェではなく、目的になるようなカフェである理由が今後のミクストランの成功には欠かせないのではないだろうか。 (食の総合コンサルタント 小倉朋子)
日本食糧新聞社