BEVだけど音がスゴイ! 〈アバルト〉500eツーリズモ
エンジン大好き“クルマニア”としては、基本的に嫌悪感が先に立ちこそすれ「やっぱり気になるし、今だからこそ所有もしてみたい」な~んて複雑な心境……。それがバッテリーEVに対する正直な思いである気がするが、いかがだろうか? しかもここ数年で、プレミアムからエコノミーまでゾロリとラインナップが増えてしまい、どれを選んだらクルマニアとしてエッジーなのかもわからないという人もいそう。だったらズバリ、これをご提案したい。〈アバルト〉500eツーリズモだ。
すでに〈フィアット〉ブランドから電気自動車500eがリリースされているが、〈アバルト〉のソレは全くベツモノと考えていい。むろん、特徴的なデザインから察することのできるように、プロダクトの多くを共用してはいるのだけれど、まず最高出力は118PSに対して155PSと約3割の向上がなされている。そして、スポーツモデルの例に漏れず、前後重量配分も可能な限り50:50に近づくように配置されている(実数は57:43)。しかし、〈アバルト〉が創り出したBEVの凄みは、それだけじゃない。
まず、スターターボタンを押すと、あたかもエンジンサウンドのような「ヴーーー」という低い唸りをもって、ドライバーの気分を高揚させてくれる。この音はちゃんと外にも聞こえているから「あれ? 電気自動車買ったんじゃなかった?」なんて、周囲の人を驚かせるような演出も用意されている。 さらに、アクセル開度や減速によって、そのサウンドはナチュラルに盛り上がりや収束を奏でるから、室内の乗員は自分がBEVに乗っているのか、それともICEに乗っているのか、混乱してしまうほどなのだ。設定によってこのサウンドはオフにすることも可能だから、一粒で何度も楽しめる、現代的なギミックも楽しみたい。
走り出してからもサプライズは尽きない。ステアリングはがっちりと堅牢。ここも軽やかさを過剰に演出するBEV勢とは一線を画する。加速のムラのなさは電気自動車の最大の魅力だけれど、それに〈アバルト〉流の豊かなトルク感を与えられているから、伝統と先進が融合を遂げた、ただただ爽快、ただただ愉快な、驚きのドライブ体験が用意されている。