「トクホ」愛用者の落とし穴/食事版トクホは課題を解決できるのか?
特定保健用食品、いわゆるトクホ商品の第1号が登場したのは1993年。この20年間で、「腸を整える」「血糖値の上昇を抑える」「中性脂肪の上昇を抑える」といった多様な用途を持つ商品が発売されました。昨年、「脂肪の吸収を抑えるコーラ」がヒットしたのは記憶に新しいですが、コーラと健康という意外な組み合わせがウケたのでしょう。しかし、「トクホ商品さえあれば健康になれる」と簡単に考えてはいけません。
適切にとらなければ逆効果になることも
トクホ商品のパッケージやラベルには、「許可表示」「1日摂取目安量」「摂取上の注意」といった記載がありますが、「脂肪の吸収を抑える」といったキャッチフレーズばかりに目が行き、細かな表示を読まない人が多いようです。トクホコーラの場合、1日摂取目安量として「お食事の際に1本、1日1回を目安にお飲みください」と表示されています。しかし筆者の周囲で調査したところ、食事のタイミングに関係なく、単にノドを潤すという目的で飲んでいる人が少なくありませんでした。なかには「痩せ薬」のようなイメージで、水代わりにガブ飲みしている人もいたほどです。 「許可表示」の記載をまとめると、『食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させる「難消化性デキストリン」によって、食後の中性脂肪の上昇を抑制する』といったことが書かれています。つまり食事の際に飲むことが前提になり、むやみに飲んでも効能は期待できないのです。 コーラにはジャンクフードがよく合います。トクホコーラを食事と一緒に飲もうとすると、どうしてもジャンクフードを口にすることが増え、かえって脂肪の摂取量が増えることもあるでしょう。無理をしてトクホコーラを飲むよりも、日ごろの食事から脂っこい食品を少し減らしたほうが太りにくいのはいうまでもありません。トクホは「医薬品」ではなく、あくまで「食品」です。その効能は「気休め程度」と思うべきでしょう。トクホ商品をとっているからと油断し、かえって食生活が乱れてしまっては本末転倒です。