自民総裁選 所見演説と共同会見(全文2)国外に出れば軍隊、それでいいのか
自民総裁選(9月20日投開票)に立候補した安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長による「所見発表演説会」と「共同記者会見」が10日午前に開かれた。所見発表演説会は午前10時から、共同記者会見は午前11時から。 当初この2つの日程は告示日の7日に予定されていたが、6日未明に北海道で起きた震度7の地震を受け、総裁選関連の活動を9日まで自粛することになった。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【中継録画】自民総裁選 安倍氏と石破氏が所見演説&共同記者会見 」に対応しております。
石破茂候補の所見表明演説
司会:安倍晋三候補、ありがとうございました。それでは続きまして石破茂候補、どうぞよろしくお願いをいたします。 石破:石破茂であります。冒頭、大阪北部震災、そして西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震、尊い命を落とされた方に心から哀悼の誠を捧げ、今、全力で対応に当たっておられる方、全てに感謝し、困難の中にある方々に心から思いをはせたい、そのように思っております。 私は国会議員になって33年目になりました。まだ議員になる前、昭和60年のことであります。私の政治の師のお1人であります渡辺美智雄先生のお話を聞く機会がありました。政治家の仕事とはなんだと。勇気と真心を持って真実を語る、それしかないのだ。私は32年間、ずっとこの言葉を自分に問い掛けてまいりました。真実は自分で見つけるしかない。そして見つけた真実は人々の耳に心地良くないことがあるかもしれない。しかしそれを語る勇気を持て。そしてそれを分かっていただける真心を。難しいことです。まだまだとてもその域に私は達しておりません。しかし32年間、それを自分の胸に常に問い掛けてまいりました。その思いでこれからお話をさせていただきたいと存じます。
やりたいのは経済の再生 その核には地方創生
私がやりたいのは経済の再生であります。その核は地方創生であります。国民1人1人の所得を上げていかなければなりません。上げなければいけないのは国民1人1人の所得なのであります。日本の雇用の8割をローカル経済が支えております。日本経済の7割はローカル経済が支えております。これから先、日本はどうなる。今2018年。22年後の2040年。人口は2000万人減るのです。たった22年で。高齢化はピークに達するのです。その年には全国の自治体の半分において、若い女性の方々の数、半分に減っていくのです。2100年、日本の人口は1391万人になるといわれ、200年後には423万人になるといわれている。これをどうするの、ということです。人口がどんどん減っていく。2100年には、訂正します。5200万人。200年後には1391万人。この社会をわれわれはなんとしても乗りきっていかなければなりません。これがわれわれが抱える最大の国難だと、私はそのように思っております。 地方に雇用と所得を取り戻していかなければなりません。確かに大胆な金融緩和、円は安くなりました。金利は下がりました。大企業は空前の収益を上げるに至りました。素晴らしいことです。有効求人倍率は全ての都道府県において1を超えました。素晴らしいことであります。それでは働く人たちの所得は上がったのだろうか。なぜ43年ぶりに企業の稼ぎ方、働く人に回る労働分配率、43年ぶりに最低の水準になってしまったのだろう。なぜ可処分所得は下がり続けているのか。これが私は最大の問題だと思っています。企業が収益を上げ、そのことと、1人1人の所得が、それは別の問題なのであります。地方に、中小企業に、農林水産業に、その伸びしろは一番多くあると私は思っております。地方、農林水産業、サービス業、そこにおける伸びしろを最大限、伸ばしていかなければなりません。それが地方創生だと私は思っております。 伸びしろは多くあります。今まで公共事業、誘致企業、それで雇用と所得を支えてきました。もちろんこれから先もやらねばならない公共事業はやります。やらねばならない誘致企業を誘致します。しかし同じものを大勢の人、安くたくさんつくる。そういうような産業がこれから先、日本に多く【立する 00:32:06】のでありましょう。かつてのように道路がどんどん良くなり、下水道が整備をされ、港ができ、港湾ができ、そこに多くの雇用と所得が、同じことを維持するのはきわめて困難と私は思っております。 伸びしろがある、そういうものを最大限に伸ばしていくというのはどういうことである? 自ら考え、自ら行う。日本全国は1718の市町村がございます。北海道だけでも179の市町村がございます。そこをどうするのか、それはその地域で考える以外にはありません。東京の霞ケ関に、そのようなことが分かるわけはない。自ら考え、自ら行う。それによって素晴らしい地域をつくりだしたところ、全国に数多くあります。これを全国に広げていくために、政府として全力を集中をいたします。そのための司令塔の機能をつくっていかねばなりません。ばらばら、いろいろな会議がある。それを一元化し、司令塔として機能させます。 地方の中小企業の経営者の方々、今、何を考えておられますか。後継者がいないな、誰か跡を継いでくれないかな、そう思っていらっしゃる方は数多くあります。そして東京には人生80年時代、85年時代、第2の人生を地方で送りたい、そう思っていらっしゃる方は大勢おられます。これを組み合わせる仕組みをつくってまいります。それを組み合わせることによって、地方に雇用と所得、新しい付加価値、それが生まれていくはずであります。 農業、漁業、林業、日本国は最も、農業、林業、水産業に向いた国でありましょう。土、光、水、温度、全てに恵まれているのが日本の農業であります。この生産性をいかに高めるか。機械化を進めて労働時間は減った。でもその浮いた労働時間は、ほかのことに回っていませんでした。今こそまさに農業の持っている力を最大限に引き出すときであります。そして農業、農村は人々の憩いの場であり、健康づくりの場であります。農業農村をそのような地帯として、雇用と所得と生きがいと健康を生む、そういう形で再生をいたします。 日本の排他的経済水域は世界第6位、漁業発展の余地は多くあります。この漁業を発展させるために、安全を図り、そして1匹1匹に付加価値を付け、新しい水産日本の復活をいたします。 この国の7割は森林なのです。ここにおいては伸びる余地は多分にある。いかにしてコストを下げるか。CLTに代表される国産材の大型建築物をどう造るか。林業にも伸びる余地はたくさんあります。 今だけ、ここだけ、あなただけ、そういうような地域は日本にはたくさんある。観光は今だけ、ここだけ、あなただけ、その地域の魅力をいかに磨くか。四季に恵まれ、自然に恵まれ、歴史伝統文化に恵まれ、そして食べ物、酒に恵まれた、そういう地域に大勢の人がやってくる。要は、安いからこれを買おう、安いからこのサービスを受けよう、なのではありません。お金を出してもこれが買いたい、お金を出してもこのサービスが受けたい。人口減少化、働く人の賃金を下げてはいかんのです。人口減少期、製品の値段を下げてはいかんのです。それにふさわしい価値をどうつくるか。生産性の向上というのはそういうことなのであります。 これだけ働いて賃金が上がらない、そんな日本であって良いと私は思いません。働く人たち、ふさわしい賃金が得られる、そのためのいろいろな施策を集中をする。そのことによって価値が上がる。それによって所得が増える。経済の好循環というのは、そういうことのはずであります。 ローカル経済というのは地方の概念ではない。東京にもそういうような経済はたくさんあるのです。合わせて、東京に掛かるこれから大きな負荷、震災対応、超高齢化、この負荷を減らしていかなければ東京の持っている能力を最大限に発揮をすることはできないのであります。今ならまだ間に合う、国として、その体制を全力で支えていく。地方創生というのはそういうことであります。地方こそ成長の力、それは単なる選挙のスローガンであってはなりません。常に地方こそ成長の力、それを最大限に生かす、地方創生を私は実現をいたします。