世界初公開。若冲の新発見絵巻《果蔬図巻》とは何か?
新発見絵巻、ついに公開 今年3月に京都・嵐山の福田美術館が発表した、伊藤若冲(1716~1800)の新発見絵巻《果蔬図巻(かそずかん)》。同作が、開館5周年記念 「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」(10月12日~2025年1月19日)にて公開された。 若冲は言わずと知れた江戸時代の絵師。京都の青物問屋「枡屋」の長男として生まれ、裕福な環境のもと、独学で作品を制作した。その作風は細部まで描き込まれたものが多く、極彩色で彩られた絹本着色の作品や、即興的な筆遣いとユーモラスな表現が特徴の水彩画は、日本美術史上でも異彩を放つ。 新発見絵巻《果蔬図巻》は1790年以前、つまり若冲が75歳以前に描いたとみられる作品。若冲は晩年、実年齢に1歳以上足した年齢を署名していたことがわかっている。本作も「米斗翁行年七十六歳画」という署名があるが、75歳以前に制作されたと考えられるという。 作品の全長は277センチ(跋文を加えると332センチ)におよぶ。若冲としては珍しい絹本着色で、若冲ならではの美しい色彩を用いて様々な種類の野菜と果物が描かれている。ではこの作品はいかに発見されたのか?
文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)