ECは「知的財産」 店舗が消えても続くビジネス【鈴木敏仁USリポート】
この企業はもともとリアル店舗に興味があったようだが、知的財産とリアル店舗を分離しており、知的財産だけ買ってECに絞ることも可能だった。
興味深いのは同じベビー用品のベビーザらスもリアル店舗が復活している点である。ニュージャージー州の大型モール、アメリカンドリームに7月後半にオープンしている。
トイザらス破綻後にトイザらスとベビーザらスの知的財産を買収したのがTruKids社で、トイザらス店舗をオープンさせたがパンデミックと重なってしまい失敗し、これを買収し再トライしているのがWHPグローバルである。トイザらスはメイシーズ店内にインストアショップも展開しているが、これもWHPグローバルが運営している。
同社はエクスプレス、ボノボス、アンクラインなど多くのブランドを所有していて、ライセンス生産、ネット販売、リアル店舗などブランドごとの最適な販売チャネルを見いだしてマネッジすることをビジネスモデルとしている。総店舗数は31カ国に1400店舗、売上高は70億ドルを超えており、本質は小売企業ではないのだが、隠れた大手チェーンストアといったところだ。
存在感を強めるABG
アメリカで越境ECのシーインが資本提携したスパークグループは、オーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)とモール運営最大手のサイモン・プロパティ・グループによる合弁企業だ。ABGはWHPと同じく知的財産の運用をビジネスモデルとしている企業である。スパークグループはノーティカ、フォーエバー21、ラッキーブランズ、ブルックスブラザーズなどを運営しており、シーインはフォーエバー21と組んだことはご存知の通りだ。
一方このシーインはイギリスのアパレルブランド、ミスガイディッド(Missguided)を11月に買収したが、手に入れたのはこれもECを中心とした知的財産のみである。運営していたフレイザーズグループは、ミスガイディッドのオペレーションスタッフはすべて自社に吸収すると発表している。