3DMark「Steel Nomad」を先行体験。非レイトレ高負荷担当、DirectX 12/Vulkanベースの新GPUベンチ
UL Solutionsは、2024年5月21日に3Dベンチマーク「3DMark」の新テスト「Steel Nomad」を公開する。DirectX 12ベースの「Time Spy」に置き換わるテストで、2023年12月に導入を予告していた。無料版のBasic Editionでも利用できる。 【画像】1分ほどで計測できるベンチ中の様子。マンダロリアンみたいな賞金稼ぎ 今回公開に先立ち、テストする機会を得たので、GeForce RTX 4090/RTX 4070 SUPERを使ってTime Spyとの違いを確認してみたい。
■Time Spyをリプレース。非レイトレ高負荷ベンチを刷新 Steel Nomadは、DirectX 12/Vulkanベースのテストだ。レイトレーシングを使わず、描画負荷の非常に高いGPU向けベンチマーク、という立ち位置になる。2016年登場のTime Spyでは最新ハードウェア環境の評価に向かなくなってきたため開発されたという。 だったら、DirectX 11ベースのFire Strikeは置き換わらないのか? と思う人もいるだろうが、最新のゲームではDirectX 11は使われなくなってきているので不必要……という判断なのかもしれない。 Steel Nomadはマルチプラットフォームに対応しているのも特徴で、幅広いデバイスの性能を測定するため、2種類のテストを用意。1つは「Steel Nomad」で、単体GPUを搭載するWindows PCやLinux、Macを対象としている。 もう1つは「Steel Nomad Light」で、CPU内蔵のグラフィックス機能を使ったWindowsノートPC、Arm版Windows、Apple Silicon搭載Mac、iOSやAndroidといったモバイル端末が対象だ。ゲーミングPCとスマホでどこまでグラフィックス性能に差があるのか、といったテストをしやすいのは便利なところ。 なお、UL Solutionsでは今後、3DMarkではDirectX 12 Ultimateのレイトレーシングを使った描画負荷の重い「Speed Way」、軽量なレイトレーシングテストの「Solar Bay」、その間に位置する「Port Royal」、そして今回投入するSteel NomadおよびSteel Nomad Lightを推奨するとしている。 ■Vulkan選択でモバイルデバイスとも横並びで計測可能。CPU負荷は超軽い さっそく、Steel Nomadを使ってみよう。マルチプラットフォーム対応がウリだが、今回試用できたのはWindows版のみ。Steel Nomadは、GPUのビデオメモリ6GB以上、システムメモリは16GB以上が必要としている。Steel Nomad Lightは、ビデオメモリ4GB以上、システムメモリ8GB以上だ。 いつも通り、「RUN」をクリックするだけベンチマークが実行される。ライター目線だと1分程度の短時間で終わるのが非常にありがたい。Steel Nomadではスコアとフレームレートだけが表示されるようで、スコア・Graphics・CPUの3つに分かれていたTime Spyよりシンプルになった。 負荷をチェックすると、CPUはほとんど使われていない一方でGPU負荷は100%に達する。これはSpeed Wayと同じ傾向。3DMarkではCPU依存を減らして、純粋なGPU性能を測る方向になっているようだ。 ほかのテストと異なる点として、APIと「DirectX 12」と「Vulkan」の2種類から選べる点も要注目。AndroidやiOSは描画APIとしてDirectXではなくVulkanをサポートしているので、マルチプラットフォーム対応のためだろう。 また、ユニークな機能として「Exploer Mode」がある。これはベンチマーク中の画面内を自由に移動が可能で、影を表現するShadow maps、エッジを滑らかにするTAAなどさまざまな効果設定を自由に有効化・無効化できる。描画処理についていろいろ試せて実際のゲームのようだ。 「Stress Test」は、デフォルトだとベンチマークを20回繰り返すというもの(回数は変更可能)。ビデオカードの温度やファンの回転数など、冷却性能をチェックするのに向いている。
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