【40代50代にこそ大切な「自分軸」の作り方とは?③】更年期は、「大人の豊かな思春期」
思春期の葛藤に隠されたヒント
──── 体とのつきあい方としては、自律神経の働きを上手に利用する、ということですね。では更年期の時期、不安定になる心については、どのように取り扱えばよいでしょうか? OCO:更年期=「誰もが通る、“大人の思春期”と、捉えてみましょう」というのが、私からの提案です。思春期は第二次性徴というホルモンの変化があり、更年期もまた、ホルモンの変化によるもの。どのような出方で、どのような葛藤があってその期間を過ごすのか。人それぞれで、個体差や違いが大きいものですが、自身の中では、その両者はどこかリンクしていて、繋がっているように思えるのです。 思春期の頃はどうだったか、ぜひ振り返って、思い出してみてください。 例えば、進路のことや友人関係、家族関係、恋愛のことなどのいろいろな葛藤が、大なり小なりあったのではないでしょうか。その気持ちの葛藤を、心や体の内側に押し込めてしまったことはなかったでしょうか。当時は自己肯定感が低かったり、自信がなかったり、感受性が強すぎたり、自分の気持ちを上手に伝えられなかった…ということもあったかもしれません。けれど「あの時、こういうこともできたよね」など、今の自分だからこそ、やっとそのテーマを俯瞰して、じっくりと扱えるようになった、とも言えると思うのです。 ──── 更年期と思春期がリンクしている! それは、とても新しい更年期の捉え方だなと思いました。そういう視点で、揺らぎがちな心を見つめたことはなかったです。 OCO:「あの頃の自分にとっては、こういうことがとても大きな出来事だったんだ」というトピックは、更年期の心にも重なり、また表れてくる…。セラピストとしては、そういうふうに感じることがよくあります。 例えば、特定の出来事、誰かに対するイライラ、気分の落ち込みなど。それらを自覚してはいなかったけれど、更年期の症状として出てくる以前から、実は思春期の頃から、自分自身の心の内側にあったものなのかもしれない、と捉えてみるわけです。 ────思春期の葛藤と、更年期の現実が重なるという、具体例はありますか? OCO:例えば、思春期にヤングケアラーのような役割を担っていて、家族の世話をしながら学業も頑張ってきた人が、当時は「それが普通」と思って生きてきたとします。そして更年期を迎えた今は、子育てや介護に追われている。 でも今は、すべてのケアを自分で抱えるのではなく、周りに頼るという選択を選びとることはできますよね。自分のキャパシティの中で、できることはやるけれども、「歳を重ねたこれからは、もっと自分のために、本当にやりたいことを人生の中心に置いていく」と決めたとしてもいいわけです。