「結婚はコスパが悪い」は本当? 世帯手取り年収に実は大きな差が 税理士が解説
生涯未婚率が上昇している日本。なかには「結婚はコストパフォーマンスが悪い」といった声も聞かれますが、果たして本当にそうなのでしょうか。「たった5日で相続対策 子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための」(ダイヤモンド社刊)の著者でマネージャーナリストの税理士、板倉京さんが解説します。 【画像】独身者と夫婦世帯を比較 世帯手取り年収に大きな差が ◇ ◇ ◇
「生活コスト」は2人になったからといって2倍ではない
「独身はお金を自由にできるし最高!」「結婚はコスパが悪いからしない」という人がいます。実際に、私の友人・知人にも独身の人はとても多いです。彼らが独身でいることを「コスパ」の良し悪しで決めているかどうかは別として、「お金」の面から見て「結婚は本当にコスパが悪いのか?」を、お金の専門家として検証してみたいと思います。 まず、「生活コスト」から。独身者は家族持ちに比べて、かかるコストの総量が少なくなることも多いでしょう。とはいえ、1人が2人になったからといって、コストも倍になるわけではありません。 住まいについては、独身時代に住んでいたところに結婚後も住み続けるという話も聞きますし、仮に結婚して30平方メートルの部屋から60平方メートルの部屋に移り住めば、有効スペースが広くなり(トイレやお風呂は同じくらいの広さなので)快適になるうえに、家賃も光熱費も倍まではかかりません。 食事も、1人分を作るのも2人分を作るのも、材料費で考えるとさほど変わりません。独身者の場合、1人分の料理を作るのは面倒くさいですし、外食やテイクアウトの比率が高くなっている人も多いのではないかと思います。そうなれば、逆に高コストです。 このように「生活コスト」で考えると、コスト効率という意味では、独身者の分が悪いと言えそうです。
扶養内で働く配偶者がいる家庭は税金だけで8万円もお得
そして、最近話題の「手取り」の面から見ると、独身者は圧倒的にコスパが悪いと言えます。なぜかというと、日本の税金や社会保険料は「家族持ち」がお得になるようにできているからです。 では、どのくらい「家族持ち」がお得なのか、具体的な2つのケースで見ていきたいと思います。 ケース1は、世帯主の年収が同じ700万円の場合。「独身」と「扶養の範囲内(年収130万円)で働く配偶者がいる人」では、どれくらい違いがあるのか比較します(図参照)。