セブン&アイが北米で500店舗出店へ、買収提案に対抗…米国法人COO「日本のノウハウを生かす」
【アービング(米テキサス州)=金井智彦】セブン&アイ・ホールディングス(HD)は17日(日本時間18日)、北米で2027年までに食品を充実させた新型の約500店舗を出店する計画を明らかにした。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているが、日米でノウハウを共有し、自力で成長戦略を進める考えを示した。 【事業規模比較】一目でわかる…店舗数はセブン&アイがクシュタールを大きく上回っている
セブン&アイHD傘下の米国法人セブン―イレブン・インクのダグ・ローゼンクランズ最高執行責任者(COO)がテキサス州で読売新聞などの取材に応じ、明らかにした。
セブン&アイHDは、クシュタールから7兆円規模の買収提案をうけている。セブン&アイHDは買収提案を受け、日米のコンビニ事業に経営資源を集中させる戦略を掲げている。特に米国を成長市場と捉え、食料品を充実させたコンビニの展開を目指している。
クシュタール首脳は「経営統合で国際的な小売業のチャンピオンになれる」としているが、ローゼンクランズ氏は「日本のノウハウを米国に生かすことが重要だ」と話し、クシュタールによる買収ではなく、日米の協業で企業価値を上げられるとの考えを示した。
日米の協業については「生鮮食品において日本のセブンとの相乗効果は強力だ」と強調。日本の弁当製造会社とも協力し、米国で約30か所の食品工場から新鮮な食料品を提供できる態勢を整えたとして、「(北米でも)地域特性に応じて、新鮮かつ高品質な商品を店舗に供給できることを証明した」と自信をのぞかせた。
ただ物価高に伴う消費者の買い控えで、米国を中心とする海外コンビニ事業は、24年8月中間連結決算の営業利益が前年同期比35%減の733億円と落ち込んでいる。このため北米では500店を出店する一方で、不採算の444店を閉店する方針だ。新型店は自動決済機能を備えたレジなど利便性を高めており、「付加価値を高めれば消費者の選択肢になれる」と語った。