ソニーがKADOKAWA買収に動く「2つの理由」。KADOKAWAとしても「ソニーを迎え入れる」のは悪くない選択肢か
ソニーを迎え入れるのは、悪くない選択肢?
ソニーにとってはメリットの大きいものになりますが、KADOKAWAはどうでしょうか。KADOKAWAは安定株主を迎え入れられるという、最大のメリットがあるでしょう。 KADOKAWAの筆頭株主はコリア・セキュリティーズ・デポジトリー・サムスン。2024年9月末時点で10.86%を保有しています。この会社はカカオ系のファンドだと見られています。2022年11月に提出された大量保有報告書にて、カカオとカカオインベストメントはKADOKAWAの株式8.87%を保有していることが明らかになっています。 カカオのピッコマでは、KADOKAWAの作品を配信しており、両社は取引関係があります。2020年8月にカカオが提出した大量保有報告書では、保有目的として「長期的な協力関係を築くことを望んでいる」と記載しています。 KADOKAWAには安定株主が少なく、カカオが買い進めることで影響力が増す可能性があります。配信プラットフォームや周辺事業だけでなく、自社のコンテンツ力を高めたいと考えるのは、ソニーもカカオも同じでしょう。 KADOKAWAは出版社の中でも、上場している珍しい会社。しかも安定株主が存在しないために、買収の標的になりやすいのです。KADOKAWAの独立性やソニーとの共同歩調がうまく取れるのであれば、安定株主としてソニーを迎え入れることは選択肢の一つになるのではないでしょうか。 <TEXT/不破聡> 【不破聡】 フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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