おじいちゃんでも続けたいチャリティーサンタ 清輔夏輝さん「100年続く文化にしたい」
人生100年時代、「教育」「仕事」「引退」といった3ステージの人生は、すでに過去のものになりつつある。だからこそ、大人になってから人生後半戦にむけての第2エンジンに着火したい。NPO法人チャリティーサンタ代表・清輔夏輝さんに話を聞いた。AERA 2024年11月4日号より。 【図表を見る】20XX年、清輔夏輝さんの夢は? * * * チャリティーサンタは、全国の有志が選んだ本を体験格差を抱える子どもに届ける「ブックサンタ」などのプロジェクトに取り組む。代表の清輔(きよすけ)夏輝さんは先祖が宮大工の家系だったことから建築に興味を持ち、中学校卒業後は高専の建築学科に進む。5年間の課程を終えて設計事務所に就職するが、就職時には次の仕事を考え始めていた。 「高専3年生のころからヒッチハイクで全国を回りいろいろなご縁がありました。でも、仕事に幸せを感じている人が少なかった。家族を大切にしながら自分らしく働ける仕事は何だろう、建築はちょっと違いそうだなとずっと考えていたんです」 違和感はぬぐえず、仕事は1年でやめた。将来像は浮かばなかったが、気づきがあった。 「やりたいことは無理に見つけるものではないと思ったんです。でもいつか見つかったとき、それができる自分に成長しようと決めました」 それ以来、清輔さんは「人生戦略」を考え始める。会社員として働くより事業をする方が性にあう。会社を経営するにせよ、芸術家になるにせよ、必要なのは集客力。ならば、と黎明期だったウェブマーケティングを学び始める。サイトを運営し、広告クリック数に応じて報酬を受け取る手法で、半年後に月収10万円、1年後には月20万~30万円を稼げるようになった。 「サイト更新さえすれば1日8時間働く必要はないから、その分、関心があることをひたすらやってみることにしました」 高専に通わせてくれた両親への「けじめ」として建築士資格を取った。「日本ヒッチハイク協会」を設立し、イベントを打った。環境活動のボランティアにも参加した。チャリティーサンタを始めたのもこの時期。当初はサンタに来てほしい家庭を有料で募集し、収益で途上国を支援する活動だった。友人女性の思いに、清輔さんがサンタを使った手法を提案して始まった。 こうした生活を4年ほど続けて25歳になったとき、また転機が訪れる。