【NISA】オルカンが今年7~8月に急落した理由&今後の展望を解説! 円高が進んでもオルカンは上昇する見通しなので、下落に一喜一憂せずに長期保有しよう
【NISA】人気の投資信託「オルカン」が2024年7~8月に急落した理由や、今後の展望を解説! 【図版】オルカンの下落の歴史をチャートで振り返る! ●「オルカン」が2024年7~8月に急落した要因は? 今後の円高でさらに下落する可能性もある!? NISAの人気ナンバーワン投資信託といえば「オルカン」だろう。正式名称は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」。低コストで手軽に全世界の株に分散投資できる投資信託だ。 しかし、このオルカンに異変が起きた。2024年の上半期は順調に上昇を続けていたが、7月上旬から急落。最近はまた復調しているものの、「急落時には損益がマイナスに……」「このまま積立を続けていいの? 」といった不安な声がザイ読者からも多く寄せられている。 そこで今回は、オルカンへの不安を払拭すべく、さまざまな疑問を検証していく。オルカンをはじめとするeMAXISシリーズの運用会社である三菱UFJアセットマネジメントの野尻広明さんにも取材。根掘り葉掘りオルカンについて聞いてみた! 【Q1】オルカンはいったい何に投資している? 【A1】投資先は世界47カ国、約2700銘柄! 「オルカンは世界経済の成長に合わせて伸びていく投資信託」だと、野尻さんは言う。 「オルカンは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)という株式指数に連動するように運用されています。では、MSCI ACWIはどのように構成されているかというと、世界47カ国、約2700銘柄が組み入れられています。これらは均等な配分ではなく、時価総額に比例した割合で、時代に合わせて比率の変更や銘柄の入れ替えも行われます」(野尻さん) すなわち、オルカンは世界経済の実態をできるだけ反映させた投資信託ということだ。現在は米国株が組み入れ比率の62%を占め、日本株が5.4%で2位(8月末時点)。以下、イギリス、カナダ、フランス、スイスといった先進国が続く。さらに、インドや台湾などの新興国も、組み入れ上位10カ国にランクインしている。 【Q2】この急落から復活できるの? 【A2】何度も急落から回復してきた! 7~8月にかけてオルカンは急落。ピーク時から約1カ月で17%も下落してしまった。新NISA開始時からコツコツ月10万円ずつ積立投資をしていれば、7月上旬時点では10万円以上のプラスに。しかし、急落時には一気にこの含み益が吹き飛んだことになる。 日経平均株価がブラックマンデーを超える下げ幅を記録した8月5日には、全体の1%未満ではあるが、オルカンの解約も増えたという。 「オルカンは過去にも下落を乗り越えて上昇してきました(下図参照)。株式型なので大きく下落する可能性は常にありますが、長期的には今後も世界経済の成長に沿った上昇が期待できます。乱高下は心理的にこたえると思いますが、積立を続けることが肝要です」(野尻さん) 実際、その後は復調してきているので、下落するたびに一喜一憂しないように心がけるべきだろう。 【Q3】今回、なぜこんなに急激に下落したの? 【A3】円高の影響が大きかった! 「今回、オルカンが大きく下落した主因は円高です。実は、7月と8月の2カ月間で、為替の影響を除いた株式指標自体はプラスになっています」(野尻さん) 現地通貨建てのMSCI ACWIの値動きを見てみよう(下図参照)。8月上旬に大きな下落を記録しているものの、すぐに挽回。7~8月の2カ月間では、約3%の上昇となっている。一方、この期間のオルカンは約7%下落している。 この差が生まれた理由は為替にある。2カ月間で1ドル=161円が146円まで円高ドル安となった。要するに、円に対するドルの価値が約10%下がったということだ。 円高になれば外貨の価値は下がるので、ほとんどがドルやユーロなどの外貨で運用されているオルカンの基準価額も下がる。そのため、株価は若干上昇しているのにオルカンは下落してしまったのだ。 【Q4】今後は円高でさらに下落するのでは? 【A4】為替がマイナスでも株価の上昇でカバーできる! 「為替で損益が大きく左右されるのが不安」という声もあるが、野尻さんは次のように話す。 「為替の影響を除いたMSCI ACWIは、1987年からのデータで、年平均プラス約9%というリターン。つまり、8年程度で2倍になります。株価の上昇によって、為替の影響はカバーできる可能性が高いです」(野尻さん) 仮に円高が1ドル=100円まで進んだとしても、株価が2倍になっていれば損益はプラスになる。実際、10月下旬時点で為替は一時のような円安水準には戻っていないが、米国で株価が上昇したことなどからオルカンも復調してきている。 それでも心配というなら、全世界株型のインデックス型投資信託の中には、為替の影響を取り除いた「為替ヘッジあり」という商品もある。ただし、ヘッジコストがかかるのが難点だ。円高のリスクは回避できても、円安に進んだ場合にその恩恵を受けられなくなる点にも注意しよう。 為替ヘッジなしのオルカン投資は、銘柄だけでなく通貨の面でも分散投資になるとも捉えられる。日本円の現預金や株だけを持っている状態よりも、為替のリスクを分散できていると考えよう。
ザイ編集部
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