「つながる車」で中露を排除する米規制案、トヨタなどの次世代車投入に影響も
インターネットに常時接続する「コネクテッドカー(つながる車」を巡り、機密データの漏洩(ろうえい)などを防ぐため、米政府が導入を予定している、中国やロシアのITを使用した車両や部品の輸入・販売を禁止する規制案について、経済産業省が国内メーカーへの影響調査を始めた。 【グラフィック】米国コネクテッドカー規制案の概要 米政府が9月に公表した規制案を受け、メーカー団体の日本自動車工業会(自工会)は、安全保障上の対策として規制導入に理解を示す一方、対応が間に合わないとして、2027年モデルからとする適用時期の延期などを求める意見を10月末までに米商務省に提出した。ホンダは個社として具体的に適用開始の2年の延期を要望した。 規制案は、中国とロシアの関係者が設計・開発・製造・供給する自動車通信システム関連のハードウエア部品とソフトウエア、自動運転システムのソフトウエアを米国市場から排除する内容。ソフト搭載車は27年モデルから、部品搭載車は30年モデルから、部品単体は29年から輸入・販売を禁じる。 ■自工会、規制の適用猶予を要請 自工会は、メーカーの新車開発期間に照らし、既に27年モデルは技術対応ができないことや、中露の関与がないことを証明する仕組みに準備期間が必要になるなどの理由から、規制案が示した適用時期への猶予を要請。規制対象となる中露の関与などについても、より明確な定義を求めた。 日産自動車も同様の意見を個別に米商務省に提出したほか、ホンダは適用時期の延期に加え、「アンテナ」など具体的な品目を示して、安保上のリスクを生じさせない部品の規制対象からの除外を要望した。 米商務省が規制案を修正しない場合、トヨタ自動車やホンダが26年以降に予定する次世代電気自動車(EV)などの投入計画に支障が出る恐れがある。 ■経産省、影響調査を開始 経産省は、自動車業界の懸念を踏まえて各社への聞き取り調査に乗り出しており、2025年1月中にも正式に示されるとみられる規制措置のサプライチェーン(供給網)への影響を把握して、必要に応じて対策を検討する構えだ。 車のネット接続は、トヨタなど自動車各社が目指す、交通事故ゼロに向けた社会システムとの連携機能や高度な自動運転を実現するには不可欠な要素で、次世代車の標準機能になっていくと想定される。