【更年期の基礎知識】女性ホルモンが減るとリスクが高まる病気4つとは?
更年期になって、これまで体を守っていた女性ホルモンが減ると、更年期症状が出るだけでなく、さまざまな病気のリスクが高まる。定期的に検査を受け、生活習慣を見直すことが予防につながる。今回は、更年期から気をつけたい生活習慣病について、産婦人科医の吉形玲美さんに聞いた。
Q. 更年期から気をつけたい生活習慣病って?
A. 気をつけたい病気は4つあります 「女性ホルモンが減ると、生活習慣病にかかりやすくなります。なかでも悪化しやすい代表的なものは、『動脈硬化症』『高血圧症』『脂質異常症』『糖尿病』の4つ。食生活の乱れや運動不足、喫煙、過労やストレスがおもな原因になるため、更年期の人は特に、検査と予防を心がけ、生活習慣の見直しが重要です」(吉形先生) ●動脈硬化症 女性ホルモンには動脈をしなやかにする作用があるため、女性ホルモンが減少する閉経前後から女性の血管は硬くなり始める。動脈の壁にコレステロールや中性脂肪がたまると、動脈硬化症を引き起こす原因に。ただ、動脈硬化は進行がゆっくり。更年期では「血圧脈波検査」「頸動脈超音波検査」などで定期的な検査を行い、早めの対策をとることで、予防は十分可能になる。 ●高血圧症 動脈硬化の原因として、最もリスクが高いのが高血圧だ。若いときは低血圧だった人も、閉経を境にいつのまにか高血圧になっていることもあるのだ。血圧には、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)のふたつがあるが、上の血圧が140以上(家庭計測では135以上)、下の血圧が90以上(家庭計測では85以上)、どちらか一方でもこの数値になると高血圧だ。 ●脂質異常症 女性ホルモンが減る更年期は、悪玉コレステロールの数値が高くなる。血液検査で、悪玉コレステロール、非善玉コレステロール、中性脂肪の数値がどれかひとつでも基準値を超えていたら、脂質異常症と診断される。動脈硬化の原因にもなるので、あてはまる場合は早急に内科の受診を。検査では善玉コレステロール値も見ると、動脈硬化リスクの度合いがわかる。 ●糖尿病 閉経後は体内での糖代謝力が弱まり、糖尿病のリスクが高まる。動脈硬化、糖尿病3大合併症(神経障害、網膜症、腎臓障害)を引き起こすほか、骨密度は高くても、折れやすくもろい骨を生む要因にも。基本的には食事と運動で予防が可能になるが、自覚症状なく進行するおそれもあり、検査では、直近1~2カ月の平均血糖値を指標としたHbA1c値を調べることも大切だ。