韓国などで進む「AIキャスターのスポーツ中継」…収益化のネックになっているもの
【09月29日 KOREA WAVE】パリ五輪の独占中継権を持っていた米NBCが最近、試験的にAIによるスポーツ中継を導入した。同社は、五輪の名物実況で知られるスポーツキャスター、アル・マイケルズ氏の音声ライセンスを取得し、それを学習させた。 AIを用いたスポーツ中継の試みが進行している。現時点で、一つの試合では人件費が「人間」より安いわけではなく、複雑に動く競技ではまだ適用が難しい。ただ、技術が高度化すれば、コストを大きく削減できるため、投資は拡大している。 市場調査会社アライドマーケットリサーチは、AIスポーツ産業が2032年までに年平均30%の成長が見込まれており、将来性が高いと評価している。 韓国では、SKテレコムが自社の超巨大AI「A.(エイドット)」を使った「A. ゴルフ」中継サービスを5月に公開した。 このAIは、画面上のプレーヤーの過去の成績や試合予測データを提供し、ハイライトショットを分析して解説コメントを生成することもできる。また試合に関連するニュース、天気、ゴルフの知識なども提供する。 しかし、このサービスは無料で提供されているため、現時点では収益化には至っていない。業界関係者によると、モデルの高度化などの開発にも相当な費用がかかっているという。 課題としては、AIが多様な人間キャスターの放送を学習し、自然な文章表現に加えて、状況に応じた強調・感嘆など、解説の「味」を再現することが求められている。さらに、激しい試合の動きなど、視覚と聴覚のデータをリアルタイムで分析する「マルチモーダル」機能の高度化も必要だ。 研究開発だけでなく、音声ライセンスや試合映像データを取引する市場が拡大することも重要だ。最近では、KTスカイライフと共同でAI中継事業を展開するOTT企業「ホガク」が、AI技術開発に向けた映像データの提供に協力するなど、先行的な動きも見られる。 ホガクのユン・ジョンフン常務は「AIキャスティングでは、映像からシュートなどのイベントを抽出したり、選手を特定したりする機能が求められる。映像データを活用した音声AIのスタートアップと協業し、サービスに適用できるAIキャスティングの開発を進めている」と述べた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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