約100年行方不明のクリムトの肖像画が約58億で落札。オーストリアのオークションでは史上最高値
約100年公開されていなかったグスタフ・クリムトの晩年の作品《リーザー嬢の肖像》 (1917)が、4月24日にウィーンのオークションハウス、イム・キンスキーによるオークションで3500万ユーロ(約58億1700万円)で落札された。 1917年に描かれたこの作品は、ユダヤ系の実業家リーザー家の依頼で描かれたものであり、18年2月6日にクリムトが死去した際、クリムトは未完成のままこの絵をアトリエに残した。クリムトの死後は、この絵は依頼した家族の手に渡っている。そして25年の展覧会に出品されて以来、同作は白黒の写真でしかその存在を確認されていなかったという。 同作を落札したのが香港のバイヤーで、落札額はオーストリアのオークションで史上最高値を記録した。同社のクリムト作品の専門家であるクラウディア・メルト=ガッサーは今回の結果について、「本当に満足しているが、国際的な基準を反映したものであるため、驚いているわけではない」と述べている。 また、クリムトが逝去前に描いた肖像画のなか、 1918年の作品《扇を持つ女》が、昨年6月にサザビーズ・ロンドンで1億840万ドル(当時の為替レートで約156億円、以下同じ)で落札され 、クリムトのオークションレコードを記録している。なお昨年5月には、サザビーズ・ニューヨークでクリムトの風景画《Insel im Attersee》(1901-02)が、5320万ドル(約72億7700万円)の価格で日本人の個人コレクターによって購入されている。