『オクラ』は刑事ドラマの構造を変えた 反町隆史×杉野遥亮の“変則バディ”の今後に期待
「あなたが自分の正義に背いたその時は、容赦なく引き金を引く」 『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)が12月17日に最終話を迎えた(以下、ネタバレあり)。 【写真】最終話で明らかになった黒幕の正体 前話ラストで、千寿(反町隆史)は、加勢(中村俊介)を殺したのは自分だと告白。結城(平山祐介)にチップを託された千寿は、警察上層部の計画を暴こうとしてきた。「ハイドアンドシーク」の一員として首都爆破テロに関わっていた加勢に、千寿は説得を試みた。しかし、もはや止めることはできないと悟り、自らの手で抹殺したのだった。 加勢殺しの犯人として指名手配された千寿は、首都爆破テロを止めるため逃走。千寿はひそかに利己(杉野遥亮)たちと連絡を取り、チップの情報を共有する。加勢のチップに爆弾のありかが、愁(観月ありさ)のチップには起爆プログラムが記録されていた。阿澄(三浦獠太)と吉岡(前田旺志郎)が遠隔操作のプログラムを書き換え、爆弾が都内3カ所に設置されていることを突き止めた。オクラのメンバーは爆弾が設置された橘東高校と東京シンフォニーホールに急行。捜査一課強行犯係の尾瀬(松角洋平)や志熊(有澤樟太郎)も加わり、爆発を阻止するため必死の捜索が続けられた。 誰が敵で、自分たちは何に対して戦っているのか? 未解決事件を追う本作で、一つの謎は新たな謎を呼ぶ。正義と悪は反転し、もつれあって錯綜した。並走する複数のストーリーは、つかまえたと思った時にはもうそこになく、終始、雲をつかむようにはぐらかされた。視聴者を翻弄するギミックと王道の刑事ドラマが共存しているのが『オクラ』であり、その意味で、最終話は今作らしさが存分に発揮されるエピソードとなった。 いまわの際の結城が残した「オクラに潜り込め」というメッセージは、第三の爆弾の設置場所であり、ハイドアンドシークの首魁が潜む場所を示していた。市街地の逃走、大人数が集う学校やホールでのパニック劇など、いくつかの見どころを配置し、ドラマはクライマックスへ向かう。爆弾を発見したオクラのメンバーに向けられたのは、仲間の銃口だった。 鬼はすぐそばに潜んでいた。隣で言葉を交わす同僚こそが、警察上層部の命を受けたハイドアンドシークだったのは、まさに“かくれんぼ(Hide & Seek)”である。愁が狙撃されたとき、同僚の追及をかわした幾多(橋本じゅん)はその一員で、首都爆破テロの黒幕だった。