7.7東京都知事選「現職・小池 vs 挑戦者・蓮舫」の選挙戦略を因数分解する!
――結局、小池さんは自民や公明の「推薦」は受けず、蓮舫さんも立憲を離党して無所属の立場で戦うようです。 米重 東京は特に無党派層が多く、政党ラベルがプラスに働かないので、政党色を薄めるのは定石ですね。 松田 それに小池さんは現職ですから、都知事選と同時に行なわれる都議補選、来年の都議選、そして当選後の議会運営のことも当然考えているでしょう。特定政党との距離感によって、次の選挙や議会との関係が難しくなることもありますから。 米重 23区の区長選も基本的にはそうですよね。先日の港区長選では新人の清家愛さんが現職を破りましたが、選挙戦の途中で共産色がつきそうになって、慌てて打ち消していた印象でした。 松田 候補者心理として、誰であれ応援してくれるのはもちろんありがたいのですが、自主的な支援がマイナスになることもあって難しいんですよね。 ■ダークホースはYouTuber市長 ――やはり蓮舫さんは、いかに政党ラベルを薄められるかがひとつのカギになると。米重 「非小池」にとどまらず、積極的に自分を選んでもらう理由を提示する必要がありますよね。 松田 そこで何を打ち出すかが難しい。小池さんは最初の都知事選から一貫して女性の支持が高い。東京の有権者は女性のほうが数が多く、投票率も高いんです。 米重 しかも待機児童の減少など、子育て世代を意識した政策もものすごくやってきている。 松田 やりたい放題だった都議会の既得権にも相当メスを入れ、予算編成なども小池カラーに変わったと思いますね。ただ、8年たって都民からすると新鮮味がなくなってきた面はあります。 米重 それは調査でも出ています。小池都政が「続くのが望ましい」と答えた人が24%に対して、「交代したほうがいい」は42%でした。 松田 小池さんにとっては怖いデータですね。「もっといい人がいれば」というニュアンスではあるにしても。 米重 新人が争点設定するに値するテーマは何かと考えてみると、例えば最近は「物価高」への問題意識が、どこでどんな調査をしてもものすごく高いです。必ずしも都道府県政マターの話ではありませんが、とはいえ東京都レベルの財政規模ならできることはあるかもしれません。