PGAツアー1年生・久常涼がアメリカで感じた「1打の重み」/単独インタビュー前編
1、2打を縮めるプランとは
来季のシードはほぼ手中に収めた。では、プレーオフに進んだ上位70人とは何が違うのか。少し思考を巡らせて「やっぱり1打の重みですね」とポツリ。「予選落ちの1打もそうですが、トップ10の近くにも同スコアがいっぱいいて、1打で順位が大きく変わる。難しいコースであればあるほどその重みが大きい。ショートゲーム、パッティング。『上位選手はきめ細かい1、2打を落とさない』と一年を通して強く感じました」 久常は秋季シリーズを前に、打数を縮めるプランを練っていた。「何かひとつというよりも全ての積み重ね。それが細かい1打になる気がする。本当のことを言うと、全部が足りていない。ショットもある程度打てるようになったと思いますけど、スタッツを見ると良いわけでもない。全部が平均ぐらい。それが全体的に良くなれば、もっと戦えるのかなというのが、いま僕が考えていることです」
PGAツアーの公式サイトで久常のスタッツをチェックしてみる。ストロークゲインド(スコア貢献度)の各項目(ティショット、グリーンを狙うショット、グリーン周り、パッティング、それらのトータル)は、確かに平均的な五角形だ。しかしポイントランク9位の松山英樹の五角形は久常のそれよりも大きい。他の上位選手もバランスよく各部門で高い数値を残している。 「何か一つを具体的にというよりも、全てのレベルがもう1段階上がらないといけない。自分の“ゴルフという大きな箱”が今はスカスカなので、全ての項目でスキルを上げて、箱の中身を詰めていきたい」 箱の中にはもちろん「飛距離アップ」の項目もある。「距離を一気に伸ばすのは難しいと思いますが…」と前置きしつつ、「今だとミニマム(最低限)すぎるんです。向こうはベテラン選手でも飛ぶ人が多くて、この前もチャーリー・ホフマンと回ってドライバーで負けた。あの人、47歳ですよ。それはキツイなと思いました」。そんな話をしているときの久常は、なんだかワクワクしている。この男、まだまだ伸びしろがたっぷりありそうだ。
協力/瑞陵ゴルフ倶楽部 後編は ・初めてのアメリカの生活 ・松山英樹先輩、今田竜二先輩とのやり取り ・フェデックスカップフォールに向けて
服部謙二郎