PGAツアー1年生・久常涼がアメリカで感じた「1打の重み」/単独インタビュー前編
自信を取り戻した「全米プロ」
落ち着きを取り戻したのは、5月のメジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」だった。予選を41位で突破、週末は「67」を並べて18位で終えた。「雨でコースもぬかるんでいたし、芝も日本みたいで、(ボールが)ちょっと浮いていてアイアンのヘッドが入れやすかった」という幸運も感じてはいたが、「あの18位は大きかったです」と振り返る。 「ようやく『やれたかな』って実感できた試合。本当にいいプレーができた」。メジャーでの60台連発は大きな自信に。最終日に同組だった松山英樹の「初めて試合で回ったが、良い選手ですよね。なんであれで予選を落ちるんだろうと不思議に思いました。飛びますし、アイアンも真っすぐ行くし、アプローチもそこそこ寄る。パターも入るしね」という手放しの賛辞にも背中を押された。
この時期、久常にはある変化が起きていた。「難しいコースになると、しょうもないミスをしてスコアを崩すことが多かったんです。その1、2打で予選カットを繰り返していた。PGAツアーはその1打を取り返すのが大変。細かい部分で丁寧さが欠けていたかなと、途中から気づくようになりました」
マスターズを除けば、前半戦の予選落ちは1打足りなかった試合ばかり。それを前向きにとらえ、足りない1打はどこを補強すればいいかを考えるようになった。「カットラインの近くでやれていたのは悪くない指標というか、自信にはなっていた。ずっと1打以内に収まっていたので、『1打のプライド』って自分に言い聞かせていました」
レギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」では3位。優勝まであと一歩に迫り、初のトップ10入りを決めた。「いつも予選通過ラインギリギリから30位より上をちょっとでも目指そうという状況でしたからね。優勝が見える位置での戦いは久々だったので、結構、緊張しました。最後は短いパットも外しちゃって…。でも『こういうプレーをすればPGAでも優勝争いができる』というのが見えたのはすごく大きかった」。最後のパーパットが入れば、トップ70に入ってプレーオフシリーズ進出の可能性もあった。