スカパーJSAT、「Universal NTN」の技術試験を開始–事業化で活動を本格化
スカパーJSATは2021年から取り組んできた「Universal NTN」の技術試験を11月から始める。事業化に向けた活動を本格化させる。11月18日に発表した。 Universal NTNは、赤道上空約3万6000kmの静止軌道(GEO)衛星とより地球に近い、低軌道(LEO)や中軌道(MEO)などの非静止軌道(non-GEO)衛星、高度20kmの成層圏を無人で飛行する高高度プラットフォーム(HAPS)など非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN)の通信インフラを組み合わせた多層的なネットワークと説明。NTNは、海洋や山岳地帯といった地上系ネットワークではカバーが難しいエリアでも確実な通信手段として活用できる。自然災害時に携帯電話の基地局など地上の通信設備が障害を受けた際に活用できる通信手段としても注目されている。 同社は17機の静止軌道衛星を保有するアジア最大の衛星通信事業者。世界で積極的に検討されているNTNの構築、実現に貢献するために、携帯電話など移動体の通信規格や技術仕様を策定するプロジェクトである3GPPに2022年4月に正式に参画した。 標準化会合では、非地上系ネットワークと地上系ネットワークのシームレスな連携、NTNのマルチオービットマルチオペレーターに関するユースケースや要求条件について、同社が商用利用している「Kuバンド(衛星通信などで使われる12G~14GHz帯の周波数)と呼ばれる周波数帯を5G NTN対応バンドとする取り組みなど、Universal NTNのコンセプト実現にも寄与する積極的な提案を進めてきているという。これらの技術の実用化をめざして、11月から試験を開始する計画としている。 Universal NTNについて同社は、産官学の多様なパートナーと連携し、オープンイノベーションを通じてビジョンと技術を共有、共創することで初めて実現できると説明。“圏外のない社会”の実現に向け、活動の進捗について随時情報を発信していくとともに、国内外のパートナーとの環境づくりや実現性の確認に向けた試験に積極的に取り組み、Universal NTNの事業を着実に推進していくという。
UchuBizスタッフ