考察『光る君へ』34話『源氏物語』が宮中を席巻!光る君のモデル探しに公卿たちも夢中、一方まひろ(吉高由里子)のおかげで出世した惟規(高杉真宙)は危うい恋の垣根を越えようとしている?
朕にまっすぐ語りかけてくる
藤式部の局に、中宮様に続き一条帝がお出ましになった。 まひろは一条帝に、左大臣から帝のことを細大漏らさず聞き取りし、ストーリーを構成し「書いているうちに帝のお悲しみを肌で感じるようになりました」と伝えた。 『源氏物語』第一帖『桐壺』には、天皇ではなく、ただ一人の男性であったら決して味わうことはないであろう悲哀が描かれる。だからこそ33話で語ったように「あの書きぶりは朕を難じているかと思い腹が立った」となりつつも、理解されたという喜びも湧くのだ。 「朕に物怖じせずありのままを語る者は滅多におらぬ。されど、そなたの物語は朕にまっすぐ語りかけてくる」 物語を受け止める側にも度量が必要だ。そしてその度量に応える力量が、まひろにはある。 藤式部との語らいがお気に召したのか「またくる」と帝は去った。 まひろ「私ではなくて中宮様に会いにいらしてください」 ほんとにね!! そして、中宮・彰子は今日も孤独な夜を迎える……。
帝も殿御におわします
3月3日、上巳の祓の日。土御門殿での華やかな曲水の宴が再現されて嬉しい! そこへ突然の雨、公卿の雨宿りの場所を中宮の御座所の隣にしたのは、まひろの機転か。 『源氏物語』作者であるまひろに、なぜ光る君を源氏にしたのだ? と訊ねる、源俊賢(本田大輔)。道長の前で、父・源高明を思い出した、素晴らしい人だったと明るい顔をして語る俊賢に、安和の変が完全に過去のものとなったのだな、俊賢自身が努力して、こう語れる今の地位と環境を築いたのだなと、見ていてなんだか救われる気持ちになった。 まひろの、どなたの顔を思い浮かべるのも読者次第でございます。を受けて「俺のことかと思った」という斉信、笑う一同。 御簾ごしに寛いだ男性たちの語らいを見る彰子……深窓の令嬢で殿方のそうした様子を目にするのは初めてだろうし、父親でも左大臣でもない、友達にしか見せない道長の表情を見て、まさに「びっくりした」だろう。 まひろ「殿御はみな、可愛いものでございます」 彰子「……帝も?」 まひろ「帝も殿御におわします。先ほどご覧になった公卿達と、そんなにお変わりはないように存じますが」 帝のお顔をしっかりご覧になってお話になったらという提案に、帝が可愛い存在──男性であるということなんて思ってもみなかった……という反応の彰子が可愛らしい。動揺して、思わず目の前にあるお菓子をパクッと口に入れて落ち着こうとするなんて。ああ、なんとか幸せになってほしい……。
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