「マウントを取る道具」として広まる歪な論文信仰 専門家は「思考と責任」の便利な外注先ではない
與那覇:語りかけるような文体も含めて、そこはしっかり届いていると思いますよ。 舟津:Amazonレビューには「呆れた結論」「つまらない」とか書かれますけど(笑)。 與那覇:推し活ならぬ「貶し活」との戦いは果てしない(苦笑)。どんな本にも付くんですよね、「最後まで読んだのにソリューションが書いてなかった」的なレビュー。 舟津:最後の答えは外注しないでください、と読者の方には伝えたいですね。この本に一貫した注意書きとして、だいたいのことは若者に限った話ではなくて、老若男女がそうであると思うべきであって。答えのない難しい問い、でも考える価値のある問いこそ、葛藤を経験しながら自分で考えるべきだし、そして異なる人と話すことで答えがわかっていくもののはず。「異なる人どうしでも共有できる言葉を作ってゆくのが、正しい意味でのダイバーシティ」なのであって、私の仕事は共有される言葉を作ることにあるのだと思っています。
與那覇 潤 :評論家/舟津 昌平 :経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師