【毎日書評】なぜ私たちは「モフモフしたもの」をかわいく感じてしまうのか?の考察
『モフモフはなぜ可愛いのか』(小林朋道 著、新潮新書)の著者は、ヒトを含むさまざまな動物について、動物行動学の観点で研究を続けてきた理学博士。 「興味深く、かわいく感じる」という動物が大好きで、その一方、“ヒトという動物”も研究対象として見逃せないのだとか。ヒトがたくさんいる街中をはじめ、駅や電車のなかなどでは、ヒトを“とても変わった魅力に満ちた野生動物”として観察しているのだというのです。 また、ヒトも含めた野生動物について、その習性はもちろんのこと、「なぜ彼らは、そのように行動するのか、なぜそんな習性を持っているのか」について研究し、その結果としてわかったことや、推察したことを書くのもお好きなようです。 そこで、ヒトについて新しい本を書こうと思い立ち(しかし意外にもネタが思い浮かばなかったため)、趣旨を説明したうえでSNSを通じて「ヒトについて日ごろから疑問に感じていることを教えてください」とお願いしたそう。 そうして集められた質問のなかから13種を厳選し、動物行動学に立脚して書いたのが本書なのです。 私は動物が大好きで、特に野生動物を中心に、彼らの息遣いが感じられるような観察や実験を通して、行動を中心にした習性を研究してきた。 まー、動物たちを、とても興味深く、可愛く感じるのだ。……と冒頭に書いた。そしてヒトという動物も好きだと書いた。 ヒトという動物の特性を考えると、温暖化防止が、自分(また遺伝子を受け継いでいる自分の子ども)にとってどれほどの利益になるのか(大きなダメージから逃れられるのか)を認識できるかどうかが、一つの重要な鍵になると思われる(「はじめに」より) そんな本書において著者は、SNSを通じて集められたさまざまな質問に答えており、そのどれもが(質問も回答も)ユニーク。しかし、どうしてもタイトルが気になってしまいます。そこで今回は、12「モフモフはなぜ可愛いのか?」に焦点を当ててみたいと思います。