無免許運転の軽自動車が横転し埼玉栄高校2年生が死亡...。「元Jリーガーの卒業生」が語る事故発生の背景
「学校側は『まさか、無免許で運転することなどないだろう』と考えていたのかもしれませんね。僕は普通科だったんですが、教師に対する不満はありませんでした。ただ、保健体育科ってまるで別の学校でしたよ。 地方から埼玉に移り住んで、スポーツに特化した高校生活を送る。部によっては、週に3回くらい、昼過ぎから練習に打ち込んでいい。もちろん、学力は低くなります。誰でも受け入れてしまって、勉強を蔑(ないがし)ろにして競技だけやっていればいいという部分が、学校側に少なからずありました。ですから、人間教育がきちんとなされていたのかと問われれば、疑問符が付きます。サッカー部も普通科は4割程度でした」(高瀬氏) それでも、と、高瀬は結んだ。 「夢を追ってスポーツをやろうと栄に入学した子は、15歳まで競技者として歩んできています。その時点でチャレンジ精神もあるし、継続性もある。素晴らしいエネルギーです。今回は、それを違った方向に使ってしまったんじゃないかと。当事者となってしまった3名は、これを機に、社会のため、他者のために自分を生かしてほしいです。それが償いにもなると僕は思います」(高瀬氏) 10年間プロサッカー選手として戦った卒業生の言葉は、埼玉栄高校に響くだろうか。 取材・文・写真/林壮一