追突にピット作業違反、FCYも解除できず「本当に全部が嚙み合わなかった」SUBARU BRZ R&D SPORT絶望の一日
2021年王者である井口卓人/山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTが、2024年は4戦を終えて決勝ノーポイントという結果を誰が予想できただろうか。 【写真】2024スーパーGT第4戦富士 GT300混戦のなかを走るSUBARU BRZ R&D SPORT 8月4日に富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第4戦富士の決勝で、井口がスタートドライバーを務めたSUBARU BRZ R&D SPORTは9番グリッドからレースに臨んだが、1周目の13コーナーで後ろを走るUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIから追突されてしまった。 このときの状況を「オーバーテイクをするため前車についていきたかったのですが、ターン13で前が詰まってしまったのか急にブレーキを踏まれてしまいました。本当に近かったので間に合わなかったです」と説明するのは、UNI-ROBO FERRARIの片山義章。 「スバルさんには申し訳ないですけど、僕がブレーキをロックさせた、失敗したというわけではありません。僕もギリギリを攻める必要があるので、これがレースなんだと思います」との言葉どおり片山に対してペナルティは出ず、『他車への衝突』で黒白旗が出されたことで終わっている。 この接触でマシンに大きなダメージを負ってしまったのが、井口の駆るSUBARU BRZ R&D SPORT。左側リヤディフューザーがタイヤに当たり、トレッドを削っている状況になったため、チームは緊急ピットインを決断した。 追突された側の井口は片山に対する怒りなどはないようで、それより「予選Q1で山内選手がトップになることのできるクルマなのに、僕がうまく活かせず中団に沈んでしまったことが、今週の流れを大きく左右したのかなと思っています」と自責する。 そんなSUBARU BRZ R&D SPORTにとって不運だったのが、その修復作業中に『ピット作業違反』でドライブスルーペナルティを取られてしまったこと。チームよると規定違反の服装で作業を行ったことが原因とのことで、リザルトに記載された正式理由は『バイザー閉め忘れ+空調服の着用』となっている。 この修復作業とペナルティ消化で周回遅れになったSUBARU BRZ R&D SPORTは、さらにFCY(フルコースイエロー)解除時にFCYモードを切ることができずコカ・コーラコーナー立ち上がりマシンを止めてしまう。このときはクルマのリセットで対応しようとしたが、解除できずに結局FCYモードのままピットに戻ったという。 まさに“踏んだり蹴ったり”の週末に、井口は「本当に全部が嚙み合わなかったレースだなと……。どうしたらいいか、自分のなかでも噛み砕けないレースでした」と消沈気味。多くのスバルファンへの思いもあるようで「ファンのみなさん、チームのみなさんにもすごく苦しい時間を過ごさせてしまっている部分があると思います。次の鈴鹿にしっかり準備をして、これからひとつでも多くの勝利を飾れるようにまた頑張っていきたいです」と前を向いた。 チームを率いる小澤正弘総監督に現状の打開策を聞くと「みんなが一生懸命やってくれていますけど、しっかりとした状態で完走できないということは、何かが足りないのだと思います。そのあたりをしっかりと見直し、やれることは全部やって、次に繋げていくしかないです」と述べた。 「次戦の鈴鹿は、5月の第3戦ではトラブルがなければ十分な速さがあったサーキットです。あの勢いを思い出して、さらにトラブルを出さずに、しっかりと表彰台を狙っていきたいと思います」と小澤総監督。 2022年第4戦以来、優勝から遠ざかっているSUBARU BRZ R&D SPORT。GTA-GT300規定車両が得意とする次戦鈴鹿で復活勝利を飾ることができるのだろうか。チーム一丸での戦いは次戦も続く。 [オートスポーツweb 2024年08月05日]