神戸ワイン40年、白鶴酒造が事業継承 4億円で譲渡契約 12月にも販売開始、来夏以降醸造へ
神戸市などは1日、市の外郭団体・神戸農政公社(同市西区)が製造・販売する「神戸ワイン」事業について、白鶴酒造(同市東灘区)と事業譲渡契約を結んだと発表した。10月7日付で、譲渡額は約4億円。白鶴は12月にも販売を始め、来年8月以降は醸造も担う。神戸ワインのブランド力を高め、欧州など海外への輸出強化を目指す。 【写真】まるで地下につくられた神殿のよう!? 神戸の開発支えた須磨ベルトコンベヤ跡地 ■欧米への輸出強化目指す 白鶴は、同市と公社から神戸ワイナリー(同市西区)内の建物や土地を賃借し、市内産ブドウを原料にしたワインやブランデー、リキュールなどを製造する。自社の販売網を活用して国内の販路拡大を進めるとともに輸出を強化。現在、米国に神戸ワインを輸出しているが、今後は米国向けを拡大するとともに、欧州市場への輸出も検討する。 生産者からのブドウの買い取りは引き続き公社が担う。白鶴は老朽化が進む醸造設備の見直しや新規導入を視野に入れる。 神戸ワインは40年前の1984年10月から販売が始まり、ワインブームの98年度には100万本(720ミリリットル換算)を売り上げた。その後はブーム沈静化などで伸び悩み、近年は新型コロナウイルス禍で一時、10万本台に落ち込んだ。公社によると2022年度から回復に転じ、23年度のワイン事業は黒字に転換した。一方で、多額の資金を要する醸造設備の更新などが困難になっていた。 記者会見した白鶴の桜井一雅専務は「まずはワイン醸造をしっかり引き継ぎ、ブランドを向上させる。醸造レベルを引き上げるとともに、数量の増加にも取り組みたい」と強調。公社の福島国武常務理事は「神戸ワインの価値をさらなる高みに押し上げてほしい」と期待した。(三宅晃貴)