明治、牛乳成分でやせる? 目安は○mL 高カカオチョコにも健康効果
明治は食品や飲料を通して健康に役立つ研究を続けている。特にチョコレートの原料であるカカオ、そして乳製品に関する分析には余念がなく、健康寿命の延伸につながる、あらゆる可能性を追求する。明治が挑む、「老化にあらがう」研究を4つ取り上げる。 【関連画像】カカオポリフェノールを豊富に含む高カカオチョコレートが、「認知機能」や「集中力の維持」に役立つことを確認。さらに、「脳の省エネ化」で脳疲労を軽減することも分かった 「チョコレートは明治」というキャッチコピーでも知られるように、明治はチョコレートやその成分に関する研究を長年積み重ねてきている。その研究から、チョコレート原料のカカオに含まれる「脂肪酸トリプタミド」と「カカオポリフェノール」に健康効果があることを明治は明らかにした。 ●脂肪酸トリプタミドが健康寿命を延ばす!? 脂肪酸トリプタミドは、カカオの種皮(カカオハスク)に多く含まれる繊維質の成分。口当たりや風味が悪くなるため、チョコレートの製造過程では取り除かれていた。明治と東京工科大学、山梨学院短期大学の研究グループは、この本来食用とされないカカオの種皮に注目。脂肪酸トリプタミドに、老化や肥満を抑制する酵素のサーチュインを活性化する作用があることを確認した。 研究グループが脂肪酸トリプタミドをショウジョウバエに食べさせる試験を行ったところ、「通常食を食べた群と比較し、平均寿命が14%(4日)延びた」(明治ホールディングス・ウエルネスサイエンスラボの夏目みどり氏)。この結果を人に当てはめると、日本人男性の平均寿命81.6歳(厚生労働省・令和2年[2020年]簡易生命表)が、93歳に延びたことに相当する。 さらに、ショウジョウバエに壁を登る運動をさせたところ、通常食を与えた群と比較し、脂肪酸トリプタミドを食べた群は加齢に伴う運動能力の低下を防ぐ効果も確認できた。人間に例えるなら、元気で生活できる健康寿命が延びたと考えられる。 明治によると、脂肪酸トリプタミドの商品化は未定というが、サプリメントなどで活用できる可能性はあるだろう。もし実現すれば、健康寿命の延伸が期待できるとして、健康意識の高い消費者の関心を呼びそうだ。 ●高カカオチョコレートが脳の省エネに役立ち、認知機能も活性化 カカオに含まれる「カカオポリフェノール」に関する研究も進む。これは以前から、細胞を酸化させる活性酸素を抑制し、生活習慣病の予防に有効であることは知られていた。 明治と理化学研究所生命機能科学研究センターの健康・病態科学研究チームは、カカオポリフェノールを豊富に含む高カカオチョコレートが「認知機能にも影響を与えるのではないか」と考え、ヒトを対象とした2つの試験を実施した。 1つ目の試験では、高カカオチョコレートを摂取した群は低カカオチョコレートを摂取した群と比較し、高度な認知課題を解く際の脳活動の省エネを誘導し、パフォーマンスと集中力を有意に維持できることを確認した。「試験で使用した高カカオチョコレートは25gで、カカオ分は70%。市販の高カカオチョコレート1枚が5gとしたら5枚程度の量を食べればOK」(明治・研究本部の中村健太郎氏) 2つ目の試験では、1つ目の試験と同じ摂取条件(被験者は異なる)で認知課題に取り組んでもらい、その際の脳の活動量を機能的MRIで調べた。その結果、高カカオ群は低カカオ群と比較し、脳の活動量の減少が判明。エネルギーを節約していることが確認できた。つまり、高カカオチョコレートを食べると、脳を酷使することなく、より少ない活動量で問題を解くことができたというわけだ。 加齢とともに認知機能のパフォーマンスを維持するのは困難になり、脳も疲労しやすくなる。そんなときに、高カカオチョコレートが手助けしてくれそうだ。