「虎に翼」の制作統括、「年を重ねても寅子のコアな部分は変わらない」
NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。物語の主人公・佐田(猪爪)寅子(伊藤沙莉)は、昭和13(1938)年に日本で初めて誕生した女性弁護士の1人として日本中から注目され、憧れの的に。その後、戦争で父・兄・夫を亡くし、家族を支えるために司法省で働き始め、「家庭裁判所の母」と呼ばれるようになります。 今回は、制作統括の尾崎裕和さんに最終回に向けての見どころなどをインタビューさせていただきました!
――中年期の寅子を描くに当たって、どういうふうな人物造形をされたのでしょうか? 「脚本の吉田(恵里香)さんと話していたのは、寅子は寅子のままで、コアな部分は変わらないということです。年齢を重ねることで当然、視野は広がっているんですけど、だからといって丸くなってしまうわけでもなく、言うべきことは言うというのを意識して作っています」 ――長丁場で伊藤さんをご覧になって、何か変化は感じましたか。 「変わらないのがすごいなと思っているんです。朝ドラの主人公は本当に大変なのですが、ずっと現場で明るく笑っていて、今も現場に行くと『あはははっ』て声がいつもするんです。今は撮影終盤ですが、変わっていないことがすごいなと思っています」 ――今回の朝ドラでは、何歳の寅子まで描かれるんでしょうか…? 「それは、お楽しみでお願いします(笑)」
――ここまでを振り返って、印象に残っているシーンを教えてください。 「第12週の(猪爪)はるさん(石田ゆり子)が亡くなるシーンですね。沙莉さんと猪爪花江役の森田望智さんの真に迫った芝居はすごく印象的でした。沙莉さんの気持ちがこもり過ぎて、全部の撮影が終了して、石田さんが帰る時までずっと沙莉さんが涙を流し続けていた姿が印象に残りました」
――新潟編での印象的なシーンはありましたか? 「寅子が川に落ちてしまうシーンが第16週にあったのですが、朝ドラの『主人公が水に落ちるのが定番だった時代』を思い出しました。寅子が花岡(岩田剛典)を山で突き飛ばしてしまった場面のアンサーであり、そういう狙いのシーンでもあったんです」 ――新潟編の制作でこだわったところを教えてください。 「一番は、言葉です。キャスティングでは、杉田太郎を演じる高橋克実さんが新潟県三条のご出身ということで、寅子が新潟に行くという物語を考え始めた頃に、ご相談して出演していただきました。ほかにも、深田仁助役の遠山俊也さん、森口役の俵木藤汰さんも新潟出身です。新潟のネーティブの方に入っていただいて、より新潟の雰囲気が出るようにというのは考えていましたね。ずっと東京が主な舞台で、いわゆる方言はあまり使っていなかったですが、新潟は本格的に寅子が住み替えるところなので、しっかりと土地の空気を出そうと決めていました」 ――高橋さんの現場での様子はいかがでしたか。 「新潟の食べ物を差し入れをしてくださって。しょうゆおこわと、“イタリアン”と呼ばれているスパゲティ風焼きそばのご当地グルメをいただきました。すごく楽しんで出演していただいて、僕たちもありがたかったです」