「虎に翼」の制作統括、「年を重ねても寅子のコアな部分は変わらない」
――轟太一(戸塚純貴)の語る同性婚の問題や、寅子と航一の夫婦別姓の問題は、今もまさに議論されている問題で、それを昭和の時代にうまく織り込んでいて驚いたのですが、どうやってこの問題を作中に入れたんでしょうか? 「寅子がこれまで積み重ねてきた人生、2回目の結婚であることや、民法の改正に自身が携わっていたことを含めて、『寅子だったらこう考えるんじゃないか』と吉田さんと相談しました。事前に婚姻の形を決めていたというよりは、『虎に翼』の寅子の歩んだ道をたどって、吉田さんが作り上げていった感じです。轟が同性愛者というのは最初に決めていたので、轟が年を重ねていく中でパートナーを見つけて、法律上の結婚ができない自分たちについてどう考えるかを描くことは、ドラマの流れとして必然だったと思います」
――残り放送あと1か月ですが、終盤に向けての注目キャラクターを教えてください! 「登場人物たちが年を重ねていく様子に注目してほしいです。松山(ケンイチ)さんの演じている桂場等一郎は、裁判所組織の中で高みに登っていく人物なので、今までとは違う顔というか、寅子たちと『竹もと』で甘いものを食べていたころとは変わってしまう桂場が、最後の方の注目キャラクターかもしれません」 ――最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いします。 「寅子が裁判官として関わる『原爆裁判』がいよいよ判決の時を迎えます。その後も、さまざまな司法の世界の事件と向き合っていくことになりますが、寅子は家裁であらためて少年たちと向き合うことになります。クライマックスに向けてドラマとしていいものになるように最後まで頑張っていきますので、よろしくお願いします」 ――ありがとうございました。
尾崎裕和(おさき ひろかず) 2002年NHK入局、07年にドラマ部へ。ロンドン大学大学院でドラマ制作を学び、19年より現職。制作統括としてプロデュースした作品は、連続テレビ小説「虎に翼」「エール」(20年)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)、よるドラ「恋せぬふたり」(22年)など。
【番組情報】
連続テレビ小説「虎に翼」 NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は1週間の振り返り NHK BS・NHK BSプレミアム4K 月~金曜 午前7:30~7:45ほか
NHK担当