おいしいお酒に大満足! 「美酒」がテーマの宿3選、箱根・心斎橋・奈良
連載《とっておきの旅》
「時を忘れて美酒に酔う」。お酒好きには夢の時間をかなえてくれる3つのホテルは、それぞれにテーマや歴史があって興味が尽きない。お酒が飲めない人にもその世界観で楽しませてくれる。箱根の奥座敷、大阪・心斎橋、古都・奈良の旧市街から、心も酔わせてくれるユニークなホテルを紹介しよう。 【写真はこちら】3ホテルの部屋の様子、バーや「シャンパンと鮨」もチェック!
■barに泊まる 「箱根香山」
箱根の奥座敷、小涌谷の緑に包まれた「bar hotel箱根香山(かざん)」。その名のとおり「barに泊まる」がコンセプトのバーホテルだ。バータイムが楽しめるようにチェックインは午後6時以降、チェックアウトは午後2時。21室のみで20歳未満は宿泊できない大人の隠れ家だ。ビンテージもののスコッチウイスキーなど一部を除き、ドリンクは宿泊料金に含まれている。 まず、玄関に入ると目に飛び込んでくる一枚板のバーカウンターと箱根の山並みが圧巻。ウェルカムドリンクとしてシャンパンをいただきながら、チェックインもこのカウンターで。眼前の風景は、冬は墨彩画のような美しさ、春は新緑と桜、夏は深い緑、秋は紅葉と、四季の彩りを見せる箱根の山々だ。 ここには、暖炉を囲んでゆったり座れるソファもあり、静かにジャズが流れる中でくつろげる。壁に描かれたモノクロームの千条(ちすじ)の滝は時間により、赤や青の幻想的な光を帯びる。アーティストの柏原晋平氏がお酒を用いて描いた館内の酒墨画の一つだ。 全て窓からの景色が異なるという21室の客室は、落ち着いた照明とスタイリッシュなインテリア。大きな窓から見える明星ヶ岳や浅間山も美しい。着物デザイナーの斉藤上太郎氏が手掛けた着心地のよい館内着を着ながら、こだわりのビールやお茶、おつまみとともにくつろいで過ごせる。 眺めのよいラウンジもあり、スパークリングワインや珍しいスコッチ、スピリッツ、おつまみが置かれて自由に楽しめる。1階のバーカウンターでは作家の辻仁成氏がこのホテルをイメージしたストーリーに基づき考案したオリジナルカクテルをはじめ、約300種類のお酒を用意。オリジナルカクテルも作り、それらの数は無限とも言えそう。バーニャカウダや足柄牛のオリジナルカレーなども提供する。 お酒だけでなく、宮ノ下温泉から引いたゆったりとした湯殿のスパ(温泉)も楽しみの一つ。90分貸し切りでスパークリングワインが付いたプライベートスパも2カ所ある(1万円)。また、プレジデンシャルスイートには半露天風呂を備える。 朝はラウンジで午前9時からゆったりとしたシャンパンブランチを。サラダやチーズ、シャルキュトリ(ハムやソーセージなど)、キッシュのほか、仏ブルターニュ地方の料理である蕎麦(そば)粉のガレットを用意。同10時からは再びバーも開く(午後0時半がラストオーダー)。 美しい眺望などとともに美酒を味わう滞在は時間の流れもゆっくり。バーに泊まるという非日常を心ゆくまで楽しませてくれるホテルだ(2人1室、朝食付で9万3300円~)。箱根登山バスや伊豆箱根バス「蓬莱園」バス停から徒歩約5分。箱根登山鉄道「彫刻の森」駅や岡田美術館などからの送迎有り。