「思っていたよりも40歳は落ち着いていない」 GENDA代表・申真衣さんのキャリアと人生の考え方
スピード出世をして40代でリタイアすることが良しとされている金融業界。社内でもっと上を目指すのか、別のフィールドに仕事を移すのか、考えた末に起業を選んだ。 「出来上がった企業の中で上を目指すよりも新しい成長を作り出していくほうがおもしろいし、経営をする側になって精神的に健康的だと思えるのは、人のせいにしなくてよくなったことです。例えば自分が採用した人がミスをした場合、その人を採用したことも、その仕事を任せたことも、結局自分の決断の結果です。じゃあどう対処していこうかと自分で決められる自由があるということはすごくヘルシーだと感じています」 今年、40歳という節目の年を迎えた。「40歳までにこうなっていたい」という目標はほとんど叶えたという。意外にも数字的なものはその中になかったのだそうだ。 「こういう人間でありたいというようなことです。中には『朝日とともに目覚めてヨガをする』みたいなこともあったのですが、そんな暇は全然なく。思っていたよりも40歳は落ち着いていないとしみじみ思います。きっと50歳も落ち着いてないんだろうけど、それをポジティブに捉えて、生き生きと前に進んでいる次の10年でありたいです」 50歳の目標ももちろん立てている。 「いろいろあるんですが、その中のひとつは『2年前に始めた中国語の勉強を続けている』ということ。検定で何級を取るとか仕事に使うということではなく、学ぶ姿勢を続けていくことが人生を豊かにするのではないかと思うのです。モデルの仕事も、ファッション業界で長くいろんな経験をされてこられた方の中に新人としてやらせていただくのはすごく新鮮で、謙虚さみたいなことも学べていると思います」 ■世界一のエンタメ企業 会社としての目標は明快だ。「2040年には世界一のエンタメ企業になっている」。 「その時、私はまだ55歳くらい。その先も長い人生があります。常に新しいことにワクワクしていたいと思いますし、自分が作った会社だからといって、絶対に自分の手で守り続ける必要はないと思うんです。例えば必要なタイミングできちんとバトンを渡すことができれば、その時にはまた自分に新しいものが入ってくるかもっていうことを信じたいと思います」 (ライター・濱野奈美子) ※AERA 2024年11月4日号
濱野奈美子