「目の前が真っ暗に」 F4戦闘機に搭乗のCNN記者、6Gの重力を体験
過去と未来、高度4000フィート
巡航高度に達すると編隊が密集した。大きな戦闘爆撃機の翼の先端同士が接触しそうなほど近かった。 パイロットはスロットルを調整しながら上昇して間隔を保ち続け、滑らかながらも多少ガタガタ揺れる飛行を続けた。韓国人記者の胃の具合が悪くなった理由が分かった。 10~15分後、下と後ろと右に目をやった。我々の編隊にぴったり寄り添っているのは、韓国軍航空界の未来を担う国産戦闘機KF21。プロトタイプでこれまでに飛行したわずか6機の中の1機だった。2機目のKF21が編隊の左側にやって来た。 KF21を開発した韓国航空宇宙産業は6機のプロトタイプを製造。2026年まで試験飛行を行った後に、量産して配備する。30年までに計120機を韓国空軍に納入する予定で、輸出も可能になる見通し。 15~20分ほど編隊と並んで飛行した後、KF21は翼を地面とほぼ垂直にしながら急旋回し、基地へ戻って行った。 ファントムは飛び続けた。 私はKF21に驚嘆したのと同じくらい、自分の乗る戦闘機にも驚嘆していた。私は自分を取り囲むノブやボタン、レバーの姿を心に焼き付けた。 このアナログの驚異は私に、私の時代に、私の世代に語りかけてくる。 KF21はデジタルの驚異であり、違う種類の飛行だ。 韓国人のファントムパイロットの1人は、KF21には乗り換えないと私に言った。それよりもボーイング737のような航空機を飛ばしたいという。韓国軍のそれほど洗練されていない戦闘機か、いっそドローンを操縦したいというパイロットもいる。1人は多少の感傷を込めて、デスクワークにすると言う。彼らが知る限り、KF21を飛ばしたいというパイロットはいなかった。
最後の区間
黄海から朝鮮半島の西部沿岸にかけての上空を飛行しながら、私は目の前の計器盤のアナログ時計に目をやった。 「10分遅れてる」と思った私は、自分の腕にはめたカシオの時計で時間を確認した。 自分が思っていたより早く、この冒険は終わろうとしていた。 間もなくパイロットがファントムを右に傾け、無線で指示が入り、我々はスウォン空軍基地へのアプローチを開始した。 ファントムが減速すると、フラップが展開されて三輪式の着陸装置が降りていることを、計器盤の左下にあるアナログ計器が示していた。 我々は左に大きく傾きながら最終アプローチに入った。ほぼ真下にスウォンの光景が見えた。 数秒後、車輪がコンクリートに接触した。旅客機よりも滑らかな感触だった。驚いたことに、重さ約1万3600キロの戦闘機が滑走路に着陸したのに、衝撃も振動も感じなかった。 地上クルーが4機をチェックした後、格納庫へ移動しながらパイロットが感想を尋ねてきた。 「また走って列の先頭に並ぶよ」と答えた私は、オハイオ州の遊園地でジェットコースターにもう一度乗ろうと走った時のことを思い出していた。 1時間と40分の間、私は「グース」だった。1時間と40分の間、私は40年来の夢を生きた。