プジョーe-3008 詳細データテスト 快適で取り回し良好 効率はクラス平均並み 走りは物足りず
はじめに
ステランティスの兄弟ブランド同様、プジョーは最近まで、電動モデル導入に際して、使用できるプラットフォームのテクノロジーに制限があることを受け入れなければならなかった。2019年にe-208で初採用されたe-CMPアーキテクチャーは、コンパクトクロスオーバーからCセグメントのハッチバックやワゴンまで、幅広く使われてきた。しかし、ライバルたちがより大きな電動ファミリーカーへの参入を熱心に進める中で、プジョーはより適切な土台を欲しながらも、機会を待たねばならなかった。 【写真】写真で見るプジョーe-3008とライバル (16枚) ようやくそれを得たのが、今回のテスト物件だ。STLAミディアムと銘打った新開発プラットフォームを用いるe-3008は、サイズの大きいファミリー向けEVの購買層を狙うステランティスが、今後放つ多くの新型車の先陣を切るモデルである。この5ドアSUVクーペは、近く投入される7座のe-5008よりわずかに小さくて背が低く、ルノー・セニックE-テックやヒョンデ・アイオニック5、BMW iX2、ボルボEC40などと競合する。 プジョーにとっては、自社の小型EVより長い航続距離や優れたパフォーマンス、早い急速充電を実現できるポテンシャルを秘めたモデルだ。ツインモーターの4WDも用意できる。デジタル技術やラグジュアリーなキャビン、ビジュアル面の魅力などは、大幅な上位移行も示している。
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
このe-3008のプラットフォーム、キャッチフレーズは『BEV・バイ・デザイン』。今後はe-5008のほか、e-408やe-508にも使用される予定で、e-CMPより大きなバッテリーパックやパワフルなモーター、長いホイールベースを備えることができる。より大きくて重いクルマを作れるようになった、ともいえる。 とはいえe-3008は、それらプラットフォームを共有するモデルや、同じクラスのライバルたちに比べると小さめだ。全長は4.5mをわずかに超えるのみで、全高も1.6mちょっと。クーペライクなルーフラインだが、ウェストラインや着座位置は、クロスオーバーよりSUVに近い高さだ。 発売時のパワートレインは1種類で、73kWhのニッケル・マンガン・コバルト式リチウムイオンバッテリーと、214ps/35.1kg-mの前置きシングルモーターを組み合わせる前輪駆動。WLTP混合モードの航続距離は最大526kmだ。2025年には2機種が追加される予定。まずはロングレンジ版で、モーターは230ps、バッテリーは98kWhとなり、航続距離が700kmに伸びる。もうひとつはツインモーターで320psのパフォーマンスで、バッテリーは73kWh仕様だ。 いずれも、重量はかなりある。テスト車の実測値が、スタンダードなグレードのアリュールでありながら2132kgで、2022年に計測したテスラ・モデルYの75kWh仕様より150kg以上、昨年のヒョンデ・アイオニック5よりは120kg重い。追加仕様は、さらに重くなることが確実だ。 サスペンションはコイルスプリングとパッシブダンパーを使用し、フロントがストラット、リアがマルチリンクの四輪独立。なお、同じプラットフォームに1.2Lの48Vハイブリッドを積む3008ハイブリッド136は、リアがトーションビームとなる。