日本の大動脈「東海道新幹線」激甚化する大雨で度重なる運休も 雨にナゼ弱い?
開業60年を迎えた東海道新幹線。記念すべき年となった2024年は、大雨に苦しめられた年でもありました。夏の台風では、東海道新幹線の雨に対するぜい弱さを露呈させました。 雨に弱いワケは何か。そこには東海道新幹線の特徴的な「ある構造」にありました。
■雨で3日間にもおよぶ計画運休も
2024年8月、日本列島を襲った「台風7号」と「台風10号」。この台風によって東海道新幹線は大きな影響を受けました。 お盆のUターンラッシュの時期を直撃した「台風7号」では一部区間が計画運休となり、多くの帰省客が予定の変更を余儀なくされました。さらに九州を中心に猛威をふるった「台風10号」では、静岡県内でも大雨に。その影響で、全線で運転を見合わせる日があったほか、これまでで最長となる3日連続で計画運休を行うなど、日本の大動脈は数日にわたり混乱しました。 改めて「東海道新幹線は雨に弱い」と感じた人も多くいたのではないでしょうか。
■運転見合わせを決める“4つの基準”
JR東海は、東海道新幹線の沿線59か所に、雨量計を設置。その規制値をもとに、運転を見合わせる基準を決めています。 ①1時間の雨量が60mm以上 ②1時間の雨量が40mm以上で、24時間の雨量が150mm以上 ③24時間の雨量が300mm以上かつ、10分間の雨量が2mm以上 ④土壌雨量指数:降った雨が土壌中に水分量としてどれだけたまっているかを数値化。土砂災害の発生危険度を示す。 このうち1つでも規制値を超えると、安全のため運転を見合わせます。 今回の台風10号では、大雨となった静岡県内の雨量計が規制値超え。大雨は降り続き、特に、24時間の雨量が規制値を大きく上回り、なかなか規制値を下回らず、運転見合わせや連日の計画運休につながったのです。
■雨の影響を受けやすい「ある構造」
実は東海道新幹線、ほかの新幹線に比べて大雨に弱いと言われている、そのワケは。東海道新幹線の線路の「土台」にあります。 東海道新幹線の土台は、全体の半数が「土」を使った土台で、そのうち44%が、「盛り土」となっています。 盛り土は、大雨が降ると土が緩み崩れるリスクが高まります。盛り土が崩れてしまうと、最悪の場合は脱線につながる可能性があるため、雨量や土壌にしみ込んだ水の量によっては、運転見合わせの判断をする必要があるのです。1964年10月1日に日本で初めての新幹線として開業した東海道新幹線。JR東海によると当時は地盤の条件などから、コンクリートで造る高架橋に線路を作ることが技術的にも難しく、さらに建設コストもかかるため、盛り土が多く採用されたということです。 一方、東海道新幹線よりも後に開業した東北新幹線などJR東日本の新幹線では、「コンクリート」でできた高架橋などを走る区間が、ほとんどで、盛り土の区間は1割未満。JR西日本でも山陽新幹線の盛り土区間は、およそ10%ほどです。