有名人の訃報に接したオバ記者が思うこと 80代で亡くなると「年に不足はない」というが“持って生まれた寿命”は皆違う、「私もいつまでも見送る側じゃいられない」
見送られるときが必ず来ると心して一日一日を大切に
もっとも、落ち着いて考えると、私たちが「年に不足はない」などと思うのは、「女性87.14才、男性81.09才」という平均寿命(2023年厚労省調べ)が念頭にあるからでね。人は誰もが平均的な生き方をしているわけではないし、持って生まれた寿命もみんな違うんだけどね。 そういえば私は、母親が92才で亡くなる前年に、母と死について話をしている。脳梗塞を起こして施設から転院した母を見舞うと、ストレッチャーに乗せられたまま、「オレはもう次の行き先が決まってんだ」と達観したようなことを言うから、「行き先ってどこよ?」と聞くと「ハカバ」だって。 「それはいいけど、その前に手順を踏んでくれる? いったんよくなって施設に入って、こっちの気持ちの整理がついたあたりで病院に入院して、そこからハカバだといい感じだけど」と私が言ったのは、母親の死を現実のものと受け止めていなかったからよ。 その後、ほぼ私の願った通りの手順を踏んだ母親は、死の前々日に見舞うと、見たことがないような穏やかな顔で静かに目を閉じていたっけ。実父は32才で12月30日に亡くなって、そのおかげで、しなくてもいい苦労をした母親だけど、最後に満足な死に顔を見せてくれたのは、かけがえのない宝物だと私は思っている。 とかなんとか、私もいつまでも見送る側じゃいられないんだよね。見送られるときが必ず来る、と心して一日一日を大切にしなくちゃね。まずは断捨離、終活、大掃除。よし、明日から頑張るわ。 【プロフィール】 「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。 ※女性セブン2025年1月2・9日号