【新型CBR600RR発表!】開発者に聞いた、ホンダが「公道を楽しめる600ccスーパースポーツ」を作り続けるワケ
2024年型としてホンダ CBR600RRがヨーロッパ市場で復活! 日本にも遅からず導入か
日本では2022年10月に生産終了となったホンダ CBR600RRだが、ヨーロッパでは日本よりも早い時期からラインアップ落ちしており、長らく600ccスーパースポーツ不在の時代が続いていた。 しかし、ホンダは2023年11月上旬に開催されたEICMA2023で新型CBR600RRを発表。ユーロ5の排ガス規制をクリアして、ヨーロッパのスーパースポーツ市場に復活した。今のところは未定だが、日本でも遅くない時期に販売されると思われる。当記事では、2024年型CBR600RRの開発総責任者(LPL)を務めた林 敬済さんに開発の背景やアップデート内容について語っていただいた。 【画像14点】ホンダ新型CBR600RRを写真で解説!全カラーバリエーション紹介、従来型との比較も ■2024年型CBR600RRのLPLを務めた林 敬済さん。RC213V-S、VFR800F、CBR1000RR(2017年型)、CRF1000L/CRF1100Lアフリカツインなどのフレーム・車体デザインを担当。NT1100でフレームデザインPLを務めた。プライベートではNSR50やグロムでミニバイクレースも楽しむ。
新型CBR600RR開発の狙い「ただ排ガス規制に適応させても、エンジン性能を犠牲にしては意味がない」
このたびのアップデートは、ユーロ5+に対応させることが目的です。具体的には制御系と排気系の改良です。エキゾーストパイプを見ていただければわかるのですが、ベースモデルとなった2021年型からはけっこう違うものになっています。 新しい排ガス規制に対応させると、通常なら出力が落ちたり車重が増えたりするのですが、今回は出力キープ、車重は1kg軽くすることができまして、CBRとしてあるべき姿を維持することができました。 実はピークパワーをキープするだけなら、それほど難しくはないのです。でも安直にやると、中低回転域のパワーがなくなってしまい、実用域がぜんぜん使えないものになってしまいます。その領域がいちばん苦労したところで、制御系のアップデートとエキパイの取り回し……集合とか連通管とか、そういったところを工夫することでピークパワーをキープして、車重も減らすことができました。 また、もうひとつの法規対応としてOBD II、故障診断装置の装備もあります(*)。新型のベースとなっているのは2021年型なので、設計が新しいから排ガス規制対応もそれほど難しくないだろうと思われるかもしれませんが、そんなことはなくて、開発チームは皆、必死になって改良しました。 パワーをキープできないのなら、もうモデルとして終わり……というところまでいったこともあったのですが、そこは絶対的な目標だったので、何としてでもやり遂げるという思いで開発してきました。 *編集部註:OBDとはオン・ボード・ダイアグノーシスの略で、ECUによる故障診断機能。国際基準が統一されたOBD IIの装備が2020年から義務化された(ユーロ5も2020年開始)。