物流クライシス打破へ キリンとアサヒが同一の新サービス導入 需要予測に基づき過剰在庫や欠品を防止 企業間連携効果も視野
キリンビバレッジは、新サービス導入に先駆け、2021年からHacobu社と「輸送量平準化 共同プロジェクト」を実施。 キリンビバレッジの掛林正人執行役員SCM部長は「共同でのシステム開発は初の試みだった。弊社社長や経営陣が物流問題を経営課題として捉えていたことで、大きく進めることができた」と振り返る。 23年10-11月には実証実験を行い、輸送コストで約9.1%、在庫日数で約13.2%の削減効果が確認された。 アサヒ飲料は23年から同プロジェクトに参画。24年3-4月に実証実験を実施し、輸送コストで約9.1%、在庫日数で約13.2%削減効果がみられた。 アサヒ飲料の和田博文執行役員SCM部長は「飲料業界は、製造工場や配送センターが全国にあり複雑な管理・オペレーションとなっている。工場から配送センターへの社内間移動での運送の効率化だけでなく、将来的には、自販機関連の営業支店への配送にも活用できないかと考えている」と期待を寄せる。 喫緊の課題である、効率的な配車も可能になると見込む。 和田部長は「大型連休と繁忙期には、特に車両の確保に非常に苦慮している。『MOVO PSI』によって2週間分の転送計画が可視化されることで、繁忙期前に分散した納品が可能になる」と語る。 今後は、メーカーや小売りといった業界を超えた企業間での連携により、ビッグデータの蓄積によるデータの精度向上を視野に入れる。 キリンビバレッジの掛林部長は「まずはメーカーの立場で個社の取り組みを成功させ、その先に卸さま、小売り企業さまへの展開を広げていくことで、社会最適の実現につなげていきたい。利用者が増えれば増えるほど効果が大きくなる」と述べる。 Hacobu社の佐藤CSOは「飲料メーカーの2社様だけでなく、今後は卸、小売り、他のメーカー様とのお取り組みも考えている。企業内での最適化の後は企業間連携、最終的には社会において最適なツールとして物流課題を解決したい」との青写真を描く。