民進党発足で「民主」票が無効に? 現存しない政党名はどう扱われるか
「民主党」と「民進党」は同一と認められる?
ただ今回の場合、「民進党」という党名が、例えば「民主進歩党」といった党名の略称ではなく、それ自体で正式な党名であることから、「一般的にいえば、『民主党』と『民進党』が同一というには無理がある」(片木教授)といいます。 なお、政党名やその略称が同一の場合は、公職選挙法第68条の2第3項で“参議院名簿届出政党等の名称若しくは略称が同一である参議院名簿届出政党等が2以上ある場合において、これらの名称若しくは略称のみを記載した投票は、有効とする”と規定されています。また、1983年の選挙部長通知では「名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分が記載されていれば有効」ともされていることから、「民主」と記載された票は有効となり、自由民主党と社会民主党で按分される可能性は高いのです。しかし、ここに民進党が入ってくるかについては、上記の理由から片木教授は否定的です。
現段階で国のガイドラインはなし
総務省選挙部選挙課は「『民主票』の判断について、法令通りに『開票管理者』の判断に委ねている」と話しています。また、「民主票」の扱いについての総務省の見解を、ガイドラインなどの形で都道府県の選管に送るかは、選挙が間近に迫った現在も未定ということです。 東京都の選管事務局も「票の扱いが不公平になるのを避けるため、判断は慎重にしないといけないと考えている。国のガイドラインに従うつもりだが現段階ではないため、『民主』票の扱いは未定」との回答でした。 法律で定められているといっても、開票管理者(選挙管理委員会)によって判断が分かれるのは、候補者に不公平感が生まれる可能性もあります。片木教授は、「最終判断は開票管理者の責任において、個々の投票の記載内容とそれぞれの地域の実情を踏まえて行うべきものですが、総務省からも参考として、一定のガイドラインを示すべきでしょう」とあらためて指摘しました。
--------------------------- ■重野真(しげの・まこと) 地方紙在籍中には支局/社会部に所属し、事件事故や学術文化などの報道に携わる。現在はフリーランスの記者として、雑誌・ウェブサイトで硬派記事を執筆するほか、ネットニュースの編集も手掛けている