【コラム】K防疫? 日本・中国が開発したmRNAワクチン、韓国は大幅な遅れ(1)
「新型コロナ治療薬およびワクチン開発が早期に成功するよう集中的に支援するための政府支援団を構成し、今週から本格的に稼働する」。 第21代総選挙直前の2020年4月9日、文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台(チョンワデ、旧大統領府)は国産ワクチン開発の希望を与えた。共に民主党は選挙で圧勝し、新型コロナワクチン開発などに2100億ウォン(約230億円)を投資する計画が発表された。それから4年半が経過した現在、文前大統領の言葉のような成果が出ただろうか。 先月10日午後、ソウル中区(チュング)LWコンベンションセンターでは、疾病管理庁の主管で「パンデミック対応メッセンジャーリボ核酸(mRNA)ワクチン開発支援事業」企業説明会が開かれた。新型コロナワクチンを平定したmRNAワクチンの開発プロジェクトを紹介する席だった。政府は2028年までにmRNA国産ワクチンを開発するという目標を提示した。 ところが今になってようやく企業を集めてmRNAワクチン非臨床課題説明会をする韓国の現実は「ワクチン主権」を主張した青写真とは距離が大きい。韓国の現状はファイザーやモデルナのワクチンを販売する米国だけでなく、隣国の日本・中国と比較しても大きく遅れている。昨年8月、日本製薬会社の第一三共は新型コロナmRNAワクチンの開発に成功したと発表した。第一三共の奥沢宏幸社長は先月、韓国経済新聞のインタビューで「ファイザー、モデルナに続いて3番目に日本で新型コロナmRNAワクチンの製造承認を受けた」と明らかにした。疾病管理庁はmRNAワクチン技術について「がんワクチン、希少疾患治療薬など先端高付加価値市場の開拓も可能」と高く評価する。問題はこうした重要な分野で韓国が遅れている現実だ。 韓国のパンデミック対処は日本だけに遅れをとっているのではない。中国は昨年3月、石薬集団が開発したmRNAワクチンの緊急使用承認をしたと発表した。インドネシアなど外国でも中国産mRNAワクチンの使用が承認されている。昨年6月、ビル・ゲイツ・マイクロソフト(MS)共同創業者は中国のmRNA研究主導機関グローバル医薬品研究開発センター(GHDDI)で演説した後、5年間に5000万ドル(約76億円)を寄付すると約束した。 中国が製薬分野で躍進しているという証言はあちこちで出ている。すでに国内製薬会社はその威力を実感している。ワクチン製造工場を取材する過程でもワクチン関連設備を整備する中国の技術者に会うことができた。工場関係者は「この生産設備は中国製品」とし「中国から技術者が来てこそ修理が可能」と伝えた。中国企業は日本の製薬会社の注文を受けて納品する形で製薬設備の生産を始めたが、技術を速やかに習得し、速いペースで成長している。 日本と中国がmRNA開発に成功する間、韓国は何をしていたのだろうか。文元大統領は2021年1月20日、慶尚北道安東市(アンドンシ)のSKバイオサイエンスを訪問し、国産ワクチンの開発を促した。政府の支援の中、SKバイオサイエンスは国産ワクチンSKYコビワン(Covione)を開発した。ところが今年の新型コロナワクチン接種品目の中にこの製品はみられない。SKYコビワンの国内接種実績を確認するために疾病管理庁に情報公開を請求した。答弁を受けた結果、今まで接種した実績は5470回分にすぎないことが確認された。政府が2200億ウォン(約240億円)を投入して1000万人分を先に購買したが、廃棄処分されたことが明らかになった。昨年は有効期間が過ぎた13万回分を廃棄し、今年に入って42万回分を追加で廃棄した。ほとんど使われず廃棄されたのだ。なぜこのようになったのか。 ◆中国mRNAワクチン 海外輸出も SKバイオサイエンス関係者は「国産ワクチンの開発は大きな意味がある」とし「ただ、新型コロナの変異が生じたことで生産したワクチンの使用が難しくなった」と主張した。SKYコビワンは再組合ワクチンだ。新型コロナワクチンの主流となったmRNAワクチンはウイルス変異に迅速に対応して有効なワクチンを生産できるが、再組合ワクチンは機敏な対処が難しい。変異が続く新型コロナの特性を考慮して日本や中国のようにmRNAワクチンに総力を注ぐ必要があった。 K防疫を広報した前政権の判断力が疑われる点は一つや二つでない。キ・モラン元青瓦台防疫企画官は2020年12月、TBSラジオ番組「金於俊(キム・オジュン)のニュース工場」に出演し、アストラゼネカとファイザー・モデルナのワクチンを比較した。キ氏は「3つが同時に我々の前に置かれていればファイザーやモデルナを使う国はないだろう」と主張した。果たしてそうだろうか。今年上半期まで韓国のファイザー接種は9000万回を超えたが、アストラゼネカは2041万回にすぎない。モデルナ(2832万回)よりも少ない。特に2022年冬季の追加接種以降は使用実績がない。ウイルスベクターワクチンのアストラゼネカはmRNAワクチンの相手にならないという結果だ。先を予測できない専門家が青瓦台に抜てきされたということだ。