もしも音楽が禁止されたなら わたしたちはそれでも曲を奏で続けるのだろうか?
新しいリズムを求めて
音楽に対する厳しい規制を経験したのは、サウジアラビアやカンボジアの人々だけではない。イランでは、 1979年の革命によって音楽が突如消えた。音楽は若者を堕落させる、というシーア派イスラム指導者の考えによるものだ。伝統音楽については、数カ月後には演奏できるようになったが、西洋の曲や女性のソロ歌手は文化的に受け入れられないものとなった。 革命から45年が経った今、イランでは古典音楽や民謡、ポップミュージックが流れ、テヘランの街角にはストリートミュージシャンの姿も見られる。2017年には西洋のエレクトロニックミュージックのバンド「Schiller(シラー)」もテヘラン公演を行った。 とはいえ、すべてのミュージシャンが自由に、公共の場で演奏できるわけではない。女性のソロ歌手が歌番組「The Voice Persia(ザ・ボイス・ペルシャ)」に出演することはあるが、番組はスウェーデンで収録されている。また、ラップミュージックも人気を集めているが、アーティストが書く歌詞が当局によって脅威と見なされると、投獄されてしまう。
文=Claire Turrel/訳=夏村貴子