「三国志」魏の3代目皇帝・曹叡、父を反面教師にした活躍と、裏目に出た滅亡
■ 3代目には「新たな野心が必要」 魏の3代目(世代として)の曹叡は、生年が205年前後と、蜀の3代目(世代として)の劉禅に似ているところがあります。ともに初代と第2世代が作り上げた帝国を、第3世代のリーダーとして維持していく必要があった点。しかし彼らには、自らの野心が決定的に欠けていました。 野心や目的意識の欠如は、年齢を重ねると共に人間としての隙を広げてしまうことにつながります。目的がないのに裕福であること、野心がないのに地位があることが、享楽的な感覚を引き寄せるからです。自分を堕落させる佞臣は、このような精神に入り込みやすい。 初代と2代目から引き継いだ遺産は、あまりにも大きなものである一方、自分自身の人生を賭ける野心を適切に持てないと、いずれ精神が弛緩して堕落を始めてしまう。曹叡と劉禅の二人の第3世代リーダーを見る時、創業した英雄たちとの違いに愕然とさせられると同時に、彼らが味わった苦楽を比較して、改めて人生の難しさを教えられるのです。
鈴木 博毅