作品賞を含め3冠「正体」の藤井道人監督「流星と何か面白い映画を作ろうという情熱から、この映画は生まれました」…報知映画賞表彰式
「第49回報知映画賞」の表彰式が16日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで行われた。作品賞の「正体」(藤井道人監督)は横浜流星(28)が主演男優賞、吉岡里帆(31)が助演女優賞を受賞し、3冠となった。 【動画】表彰式の華やかなステージ 4年がかりで完成させた苦労が報われた。藤井監督はブロンズ像を手に「(横浜)流星と何か面白い映画を作ろうという情熱から、この映画は生まれました。仕事だと思わず、情熱、熱狂を持って、この映画を信じて作り続けました」と振り返った。 多くのスタッフ、キャストが藤井監督と横浜の情熱に引っ張られ、最高のパフォーマンスを発揮した。選考委員の幻冬舎・見城徹社長は「全身をわしづかみにされた。『正体』の世界に没入させられました。藤井監督が作る作品の光、におい、音、色、海、川、空、風、背景、建物、その全部が生き物のように世界を作っている。その極めつきが『正体』だった」と絶賛。「こんな作品を作れる人はいない。空前絶後じゃないか」と惜しみない拍手を送った。 「正体」を配給した松竹の迫本淳一会長が花束プレゼンターを務め、意外な縁を明かした。迫本会長と藤井監督の父が小学校からの同級生で「2人とも文化系というより体育会系で、幼い頃のけんかの宿敵でした。ライバルの息子に花束をこうして贈る。こんな日が来ると思っていなかった。万感の思いがあります」と思いを込めた。 38歳ながら多くの栄冠に輝き、ベテランの風格も感じさせるが、慢心することはない。「仲間と何かを作り続けるのが好き。数年後も胸を張って、映画を作れる映画人でありたい。先輩にも後輩にも恥じない姿勢で、謙虚に覚悟を持って進んでいきたい」と気を引き締めた。(有野 博幸) ◆藤井 道人(ふじい・みちひと)1986年8月14日、東京都生まれ。38歳。日大芸術学部卒。2010年、映像集団「BABEL LABEL」設立。「オー!ファーザー」(14年)で商業作品デビュー。「新聞記者」(19年)で日本アカデミー賞最優秀作品賞など多数受賞。代表作に「ヤクザと家族 The Family」(21年)、「余命10年」(22年)、「青春18×2 君へと続く道」(24年)など。 ◆選考委員 荒木久文(映画評論家)、木村直子(読売新聞文化部映画担当)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(五十音順)と報知新聞映画担当。
報知新聞社