カミングコウベ開催資金募る 入場無料続けたい ガガガSPなど出演、阪神・淡路の記憶継承
阪神・淡路大震災の記憶継承に取り組むチャリティーフェス「カミングコウベ」の実行委員会は、来年5月に計画している21回目の開催費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。人件費や会場設営費が高騰する中で無料入場を続けるためといい、震災から丸30年となる同1月17日まで協力を呼びかける。(井上太郎) 【写真】発起人の松原裕さん カミングコウベは、神戸・三宮のライブハウス「太陽と虎」を運営した音楽プロデューサー松原裕さんが、阪神・淡路当時の被災地支援に「音楽で恩返しをしたい」と、2005年に立ち上げた。松原さんは19年に39歳で亡くなり、長男の上田佑吏さん(24)らが実行委員として遺志を継いでいる。 これまで、あいみょんさんら大物を含め、趣旨に賛同したアーティストが無報酬でステージに立ってきた。会場で集めた募金は累計8千万円を超え、東日本大震災や能登半島地震の被災地に贈った。 一方で、売り上げはグッズや飲食物の販売に限られる。収入の柱である企業協賛金は、新型コロナウイルス禍で減少した。神戸メリケンパークで計96組のアーティストが出演し、約1万6千人が訪れた今春の第20回は約1千万円の赤字となった。 有料化や規模縮小も検討したが「無料だからこそ若い世代も含め、多くの人に参加してもらえる。防災、減災の意識を広げるためにもそこは譲れない」と上田さん。運営費用の15%に当たる1千万円を目標に、今年11月にCFに乗り出した。 支援金額は5千円からの11種類で、金額に応じて限定グッズや前夜祭の参加権などの特典が付く。28日時点で、89人から計約610万円が集まっている。 25年の会場は神戸メリケンパークで、神戸出身の4人組ロックバンド「ガガガSP」などの出演が決まっている。CFの結果でステージ数や出演アーティストなどイベントの規模が変わるといい、上田さんは「神戸から全国への恩返しでもあるカミングコウベをより良い形で実現できるよう力を貸してください。僕たちに活を入れてください」と話している。 CFの詳細は、カミングコウベのホームページ(https://comingkobe.com/)で公開している。