「最弱」が8強 チームけん引、九州国際大付・野田主将 センバツ
第94回全国高校野球選手権大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第9日の28日、九州国際大付(福岡)は準々決勝で浦和学院(埼玉)に敗れ、前回出場した2011年の準優勝を超えるという目標は果たせなかった。昨秋、楠城徹監督(71)が「最弱」と評したチームをセンバツ8強まで引っ張ってきた野田海人(かいと)主将(3年)は夏の雪辱を誓った。 【浦和学院(埼玉)vs九州国際大付(福岡)】 涙が止まらなかった。試合後、アルプススタンドの応援団にあいさつした野田主将は、帽子を深くかぶり直すと顔を押さえてうずくまった。控えの横町幸輝選手(3年)が肩を抱きかかえた。 野田主将は中学時代、決して華々しい実績があるわけではない。所属していた硬式野球チームでは中2の秋まで控え選手で、九州国際大付への進学希望を口にしても「九国に行っても3年間草むしりで終わるぞ」と言われた。 「奥手で、ほとんど目立たない子だった」。当時の指導者で、三池工時代に甲子園で優勝した経験もある瀬口健さん(74)は入団当初の野田主将をそう評する。「ただ、スローイングはものすごく良かった」 ところが、中3で「九国に行きたい」と目標が定まると急成長を遂げた。別の投手の視察でチームを訪問した楠城監督は野田主将の潜在力に注目。元プロ野球選手でスカウトやコーチも歴任した名伯楽の目利きに間違いはなく、入学後、めきめき頭角を現した。 主将になってからは苦労続きだった。新チームになって初の練習試合で敗れた際は楠城監督に叱咤(しった)された。「今までの代で一番弱い」。新型コロナウイルスの影響で、部員の4分の3(44人中33人)が暮らす寮は部屋の行き来が禁じられた。それでも「一人として全員が向かう方向から外れることがないように」と、メンバー落ちした選手らにもグラウンドや校内で話しかけ、誰も取り残されないチーム作りに腐心した。 センバツはエースの香西(こうざい)一希投手(3年)の活躍などで8強入りしたが、自信を持っていた打線が爆発せず課題も残った。「この春は香西に頼りっきりだった。悔しさしかない」。日本一の目標は夏に持ち越した。【浅野翔太郎】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。