大迫傑は“高みの見物“でOK?! なぜ最後の五輪選考レース「びわ湖毎日マラソン」で日本記録更新が期待できないのか
MGC出場者は、荻野皓平(富士通)、大塚祥平(九電工)、鈴木健吾(富士通)の3人。タイムという意味で期待値が高いのは箱根駅伝2区でも活躍した社会人2年目の鈴木か。 ナイキ厚底シューズの影響で好タイムが誕生する可能性が高まっているとはいえ、日本人選手のなかに本気で東京五輪の代表獲得ラインとなる日本記録(2時間5分29秒)の更新を考えているランナーはいないだろう。 そんなびわ湖でもモチベーションはある。それは大迫が二度目の1億円を獲得した実業団マラソン特別強化プロジェクト「Project EXCEED」の褒賞金だ。東京では日本記録挑戦奨励賞A(2時間6分59秒以内/奨励金1000万円、監督およびチームにも奨励金500万円)を2人、日本記録挑戦奨励賞B(2時間7分台/奨励金500万円、監督およびチームに奨励金250万円)を6人が獲得している。 東京で好記録ラッシュに沸いた反面、褒賞金の残額は約800万円に激減した。残りの対象レースはびわ湖と同日に開催される名古屋ウィメンズの2大会だが、日本新記録が出ても褒賞金1億円を贈ることができないという。 男女いずれも好記録が出た場合、残額の約800万円については、「早い者勝ち」となる見込み。男子のびわ湖は午前9時15分、女子の名古屋ウィメンズは午前9時10分スタート。フィニッシュ予定はびわ湖の方が先で、顔ぶれを見る限り、日本記録挑戦奨励賞B(2時間7分台)が現実的な目標となる。 仮に日本人選手が2時間7分台を複数マークする展開になっても、褒賞金を手にすることができるのは1人のみ。注目ポイントを挙げるとなると、500万円をめぐる戦いか。東京五輪代表がかかる大迫にとっては”高みの見物”になるだろう。せめて次世代を担う新星の誕生を期待したい。 (文責・酒井政人/スポーツライター)