大迫傑は“高みの見物“でOK?! なぜ最後の五輪選考レース「びわ湖毎日マラソン」で日本記録更新が期待できないのか
従来の世界大会代表はタイムだけでなく、順位、レース内容なども「選考基準」に加味されていた。しかし、東京五輪はマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)で「2位以内」に入った選手(中村匠吾、服部勇馬)と、MGCファイナルチャレンジ(男子は福岡国際、東京、びわ湖)で日本陸連の設定記録(2時間5分49秒)を突破した最速タイムの選手が内定となるからだ。すでに大迫が2時間5分29秒をマークしているため、びわ湖に出場する選手は、この「日本記録」を上回る必要がある。 冷静に考えると、びわ湖での”大逆転”はかなり難しい。大会記録は後に世界記録(当時)を樹立するウィルソン・キプサング(ケニア)が2011年にマークした2時間6分13秒。びわ湖で2時間7分を切ったのはキプサングただひとりだ。 日本人最高記録は、2001年に油谷繁(中国電力)がマークした2時間7分52秒。日本人は2時間6分台すら遠く、2時間8分を切ったのも油谷と森下由輝(旭化成)の2人しかいない。 近年は2年連続で優勝記録が2時間7分台とまずまずの水準だが、「2時間5分29秒」どころか、優勝記録が2時間6分台に突入するのも微妙な状況なのだ。 東京はペースメーカーが2パターン準備され、ファーストが「1km2分55~56秒」(2時間3分04秒~3分46秒ペース)、セカンドが「1km2分58秒」(2時間5分10秒ペース)に設定された。一方のびわ湖は前回、前々回ともに「1km3分02秒」(2時間7分59秒ペース)という設定だった。 今回は2時間5分台が3人、同6分台が2人と海外招待選手のレベルは高い。そのため前回よりもペース設定が引き上げられるかもしれないが、高速レースになったところで、日本勢がうまく対応できる可能性は低い。東京と比べて、日本人出場選手のレベルはダウンするからだ。 2時間8分台は川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)、松村康平(MHPS)、野口拓也(コニカミノルタ)の3人。最もメジャーな存在である川内は、プロランナー転向後のベストが2時間12分台と高速レースに対応できる状態ではない。