40年以内に発生確率90%の南海トラフ巨大地震 体験者と第一人者から“未来の被災地”へのメッセージ
東日本大震災で“過小評価”された津波警報 正確な情報提供めざして
最新の科学技術は四国沖でも。 10月、高知県室戸市で大規模な工事が進められていました。敷地内に掘った穴からゆっくりとケーブルが引き上げられていきます。 これ、何の工事かと言うと… 白石アナ: 「四国沖の海底に総延長1650キロに渡る観測網を設置する作業をしています。その観測装置の一部がこちらに展示されていて、このような機械を使って海底の地震や津波を観測することにしています」
36個の装置をケーブルでつなぎ、得られたデータは、リアルタイムで気象庁や関係機関に共有されます。 防災科学技術研究所 青井真 上席研究員: 「実際に3.11でも津波警報を出すマグニチュードは過小評価をされ、結果として津波警報も過小評価された。そういうことが起こらないように」 震源により近い場所で観測をすることで、より正確な情報提供を。 東日本大震災以降、海底観測網の整備が進み、唯一空白となっていた四国沖でも、2025年度の運用開始を目指し工事が行われているのです。 青井さん: 「沿岸で津波を観測するのに比べて、実際に津波が起こったことを知ることができる時間がここが20分、ここだと15分(早く分かる)」 緊急地震速報や津波の予測がより早く、より正確になることが期待できるのです。
漂流する車が窓から入ってきた小学校…教訓学ぶ「3.11伝承ロード」に
11月下旬。津波研究の第一人者、東北大学の今村教授と向かったのは仙台市の沿岸部。 今村教授: 「この建物は4階建ての鉄筋コンクリートでかなりダメージは受けているが、そこが津波浸水高で、当時、確実にあの高さまで来ている」 海から700mほど離れた旧荒浜小学校。震災当時320人が避難したこの場所は今、伝承施設として保存されています。
白石アナ: 「これ、車ですよね」 今村教授: 「1台だけでなくて何台も積み重なるように津波によって流されている。教室の窓から漂流物となって車も入ってきているんですね」 津波の威力や恐ろしさを物語る爪痕や当時の写真の数々。 今村教授は、青森から福島の間に残る、震災の教訓が学べる施設およそ50か所を「3.11伝承ロード」とする活動を進めています。