40年以内に発生確率90%の南海トラフ巨大地震 体験者と第一人者から“未来の被災地”へのメッセージ
今村教授たち: 「これ見たことないですよね」 「聞いたことないですよね、仙台でもないですよ」 避難を呼びかける半鐘。夏場の避難や孤立などにも対応できる工夫が詰まったタワーです。 足達さん: 「ここに逃げないといかんということが分かる活動はやってもらえたらいい」 今村教授: 「住民の方に確認して何か必要があればね」
目印にアドバルーン!? いかに避難時間を短縮するか…最新技術使ったアプリ開発も
今村教授のもと学生たちが進めているのが… 今村教授: 「どれが(津波避難)ビルかわからないですよね」 白石アナ: 「標識もなければ建物に何も書いていない…(アドバルーン)あそこにありますね」 今村教授: 「あちらが津波避難ビルの位置を示しています」
一分一秒を争う津波避難。旅行先や出張先など土地勘のない場所で災害に遭遇しても、アドバルーンを目印に誰もがスムーズに避難ができるようにしようという研究が、今まさに進められています。 東北大学大学院 修士2年 成田峻之輔さん(アドバルーン避難の発案者): 「(南海トラフ巨大地震で)津波到達時間が短いと想定されている東南海エリアでは、特に時間を短くする可能性のある研究が役に立つのではないかと」
一方、神奈川県川崎市などと共同で開発を進めている最新技術が… 今村教授: 「今自分がここにいるということで津波の浸水範囲が出ると、ここに色で出てきます。さらに、周辺でどういう避難場所があるのかすぐに表示できます」 避難を後押しするためのアプリです。リアルタイムの観測情報を元に、今自分のいる場所に、どの方向からどのくらいの時間で津波が到達するかをAIが教えてくれるのです。
今村教授: 「最終的に命を守るのはやはり個人なんです。昔からの知識、経験というのは今後起こる災害に対して常に正しいとは限らない。条件が変わると到達時間とか影響の程度も変わる。こういうものに対しては知識に加えて判断力になる。突然くる災害なので、それにどう対応できるのか。それは防災教育であり意識啓発の問題になる。このベースがなければ、最新の科学技術も役に立たない」 一人でも多くの命を守りたい。今村教授の胸には強い後悔があると言います。 「12年経ったが東日本大震災。我々が研究しているこの場所で、本当に多くの方が犠牲になってしまった。当時の推定範囲よりも今回の東日本大震災ははるかに大きかった。せっかくハザードマップの危険エリアから避難してもらったにも関わらず、避難ビル等、安全な場所のはずが、実は津波によって飲み込まれてしまった。想定も含めて多くの課題を我々持った」 もっとできることはなかったのか。後悔と教訓を胸に、次の災害から命を守るため研究を続けています。